生前整理

生前整理とは、自身が元気なうち、生きている間に身辺整理をすることを意味します。

生前整理は今すぐスタートすることができる、一番手軽で簡単な終活です。

何十年とたくさんの物がある家の中で、今後のセカンドライフに本当に必要なものを厳選し、不要なものは処分や生前の形見分けとして活用することができます。

物を減らしておくこと、身辺整理をすることで自身の死後家族の負担を減らすことができる大切な終活です。

生前整理の大切さや意義、トラブルの回避方法を含めて実用的ですぐに実践できる生前整理をご紹介していきます。

生前整理のやり方と意義を考える

生前整理をスタートするのは、早ければ早いほうが良いでしょう。

実は今、20代、30代から終活を始めている人もいます。

極限まで物を減らして生活していくミニマリストという生活スタイルも話題になっています。

若者の終活、ミニマリストは一部の方達の話かもしれませんが、あながち間違いではありません。

なぜかというと、生前整理はいわば断捨離をすることなので体力が必要になります。

若いうちからすこしずつ整理を始めることで、足腰が弱くなってからの負担を減らすことができるのです。

生前整理をする主な理由
自分の人生を振り返り不用品の処分をするため
残された家族に迷惑をかけないため
身辺整理をし、改めて財産の確認をするため
人間関係の整理

生前整理をするべき主な理由はこの4点になります。

特に不用品の処分は体力と気力が必要な作業になります。

年齢を重ねていくごとに重い物を運ぶことや、多少の物でも片付けることが億劫になり足腰も弱くなります。

ですから足腰が強く元気なうちに、生前整理で少しずつ物を減らすことが重要なのです。

物を邪魔にしながら生活する必要がなくなり、最小限のもので快適な生活をおくることができます。

一番簡単な物を減らす生前整理は、終活と重く考えずに大掃除や断捨離、想い出の整理と捉えるとスムーズにスタートすることができます。

シングル者、おひとり様で生活している人の場合は、突然予期せぬ出来事があった場合に相続に関する一切が手つかずのままに、最期を迎えてしまう可能性もあります。

シングル者、おひとり様の生前整理は、生前整理のための記録や終活ノートを作成することをお勧めします。

不動産や金融関係整理のための生前整理記録のように1人でできる終活もあれば断捨離のように協力者がいなければできない生前整理もあります。

家族がある方もそうでない方も、万が一に備えて少しずつ生前整理を始めましょう。

生前整理の断捨離を進めるポイント

生前整理における断捨離のポイント
不要なものと処分を保留するものを選別する
家族と一緒に断捨離をして形見分けをする
処分に悩むものは不用品と見切りをつける

物を捨てることに抵抗を持ってしまい、捨てることができない人もたくさんいます。

断捨離のポイントは『今後使えるか?ではなく今後必要か?』ということです。

基本的に捨てるかどうか迷うものは不要な物と考えて良いでしょう。

必要かどうか家族に確認を取りたいときは、一時保管箱などを作って処分の保留をすると断捨離がスムーズに進みます。

自分にとっては不要に感じるものでも、家族に取っては大切な物、想い出の品ということもありますので、まずは家族に生前整理をする旨を伝え家族が必要なものを先に引き取ってもらうことで、物も減りますし後々のトラブルも回避することができます。

家族を困らせる元になる!見落としがちな人間関係の整理

『人間関係の整理』と聞くと、なんだか冷酷なような気がしてしまいますが、人間関係の整理は生前整理の中でも重要な項目です。

なぜ人間関係の整理が必要かというと、友人関係や会社関係の繋がりなどは自身にしか分からないことだからです。

家族にとって故人の死後に情報量が多いことは混乱の元となります。

・故人が亡くなったことを誰にどこの範囲まで伝えていいのか?
・連絡することは失礼にあたらないのか?
・連絡が付かない人は調べるべきか、諦めるべきか?

家族が故人の友人などに連絡を取ろうとしたとき、またはその逆で相手から連絡が来てしまった場合、故人はどこまで深い付き合いをしていたのか家族には見当もつきません。

ですから、携帯やアドレス帳に記録されている連絡先を整理し、必要ない場合は消去をしましょう。

同時に、年賀状も喪中はがき出したり、連絡をするためには重要な情報源になります。

喪中はがきを送ったものの、すでに相手の方が他界しているケースなどもあります。

家族を困らせないためにも、人間関係の整理は忘れずに行いましょう。

生前整理で下準備をする財産整理

生前整理は物を整理整頓することが全てではありません。

自身が今持っている財産をエンディングノートなどに書き残すことも生前整理の1つです。

特に財産の問題は相続の際にトラブルに発展する可能性が非常に高いので残された家族にも迷惑をかけないように、今から財産の整理をすることをお勧めします。

財産の整理をして家族に伝えるべきこと
預金通帳・外貨など銀行関係
不動産所有の詳細
年金手帳や健康保険証の保管場所
有価証券の銘柄や保有数
宝飾品や美術工芸品など資産になるもの
クレジットカード詳細、借金の有無

財産や貴重品などの情報は、自分以外は知らないことが基本です。

ですから、財産の整理をして詳細を残しておかないと残された家族は故人の遺産相続や役所の各種手続き、銀行解約など様々な場面で苦労をすることになります。

また、マイナスの資産である借金がある場合もきちんと記録に残しておきましょう。

家族に秘密にしている場合、知られたくない一面ではあると思いますが、マイナスの資産も遺産相続の時に大きく関わってくる重要事項になります。

特に重要なのは相続税の申告が必要になった場合、相続税の申告期限は死後10ヶ月以内という決まりがあるので、財産に関する整理やまとめは早めに済ませておきましょう。

生前整理と遺言書の作成

遺言書に関しては『所有する財産も少ないし、そんな大袈裟にする必要がない』と思っている方が多くいらっしゃいます。

しかし、遺言書は財産の規模に関わらず、遺産相続の際にトラブルが予想される場合はとても重要な役割を果たします。

遺言書を作成する理由の一例
法定相続人にあたるが相続をさせたくない人がいる
血縁関係はないが相続したい人がいる
遺産相続の金額の分配を指定したい

などの理由でも遺言書は作ることができます。

遺言書は法的に決まった書式があり、条件が満たされないと遺言書としての効力はありませんので、弁護士に相談して作成することをお勧めします。

近年になり多くなったデジタル遺産問題

デジタル遺産とは、パソコンやスマートフォンや携帯などに残されたデータを指します。

時代の流れで写真や動画などのデータも、会員証などのデータもパソコンやスマートフォンや携帯が使用されていることがほとんどです。残すべきデータと不要なデータを整理する必要があります。

デジタル遺産の整理ポイント
見られたくないデータは消去する
残したいデータはDVDやUSBメモリなどに移行する
有料会員の登録などを改めて見直し整理する
電子マネーなどの確認と整理
SNSの整理と退会

家族とはいえプライバシーはありますので、知られたくないことや、見られたくないこともあります。

見られたくないデータは事前に自分で消去をするようにしましょう。

また、大切なデータが残ったままパソコン、スマートフォンや携帯の処分をしてしまったらデータは二度と手に入れることができませんので、早いうちにデータの整理をして移行をしておきましょう。

特に見落としがちなのが、古い携帯いわゆるガラケーに残されたに残された写真のデータです。古い携帯のデータもしっかりと確認しましょう。

ショッピングや動画サイトなどの有料会員に関しては、亡くなった後も請求は止まりませんので、今現在いくつの有料会員になっているのか、使ってないのに請求が継続されている有料会員が無いか確認をしましょう。

また、電子マネーの残高や自動チャージも改めて確認が必要です。

電子マネーはスマートフォン、携帯だけではなくカード式もたくさんありますので保有している電子決済カードの残高や枚数もきちんと把握しておきましょう。

デジタル遺産はパスワードが必要な項目もたくさんありますので、いざという時のためにパスワードもエンディングノートに書き残しておくと良いでしょう。

一世代前とは違う?生前整理が利益を生む

断捨離がある程度進んでいくと不要な物の多さにビックリする方もいるのではないでしょうか?

実はその不用品が利益を生むということが話題になっているのです。

それは何かというと、『フリマアプリとネットオークション』を活用することです。

事実、ここ2、3年で団塊世代から上の年齢の方達のフリマアプリやネットオークションの登録利用件数が数十万件増えています。

団塊世代から上の世代の方達は物を大切にすることを強く教えられているので年代物の洋服や生活用品でもとても綺麗に保管している方が多いのです。

どうせこんな古い物、自分が不要の物は他人にとっても不用品だから出品もどうせ売れないと思っている方が多いようですが、全くそんなことはありません。

子供が小さいころ使っていた昭和アニメの水筒やカバン、アルマイトのお弁当箱、頂き物の食器など戸棚の奥にしまい込んでいませんか?

いつか着るだろうとダンスに眠っている洋服や着物はありませんか?

昭和レトロ、ヴィンテージ、1950年代、60年代、70年代の雑貨や洋服はコレクターもたくさんいます。

洋服や着物も古着そのものとして、またリメイクの材料として意外な物でも買い取り手はいるのです。

自分にとっては何の変哲もない雑貨でもコレクターにとっては、宝の山ということもあります。

ちょっとしたお小遣い稼ぎどころか、数十万円で売れる品もあるかもしれません。

どうせゴミとして捨ててしまうのであればフリマアプリや、ネットオークションに出品することも生前整理の一環としてお勧めします。

インターネットが出来なくても大丈夫!生前整理業者の勧め

フリマアプリなど見ず知らずの人とインターネット上でやり取りするのが恐い。

詐欺にあうのでは?などと不安に思う方には、生前整理業者の利用をお勧めします。

生前整理業者は自宅に来てくれて、不用品はごみとして処分し値打ちが付きそうな品があればリサイクル品として買い取ってくれます。

生前整理業は費用が掛かりますが不用品の処分や買い取りだけではなく、ハウスクリーニングなどのオプションもありますので、部屋ごと綺麗にしたい方にもお勧めです。

生前整理と空き家問題

生前整理でやるべきこととして『不動産所有の詳細』という項目は、自分には関係ない。と思っている方はいませんか?

不動産とは、ビル所有や駐車場経営のことだけを指すのではなく、今住んでいる自宅も不動産に当たります。

自宅の引き継ぎ問題は遺産相続でのトラブルも予想されますし、メディアにも取り上げられている空き家問題に家族が巻き込まれる可能性も十分にあります。

自宅を処分する際に起こるトラブル一例
取り壊しにもリフォームにも費用がかかる
空き家になった時の防犯問題
土地の所有権問題
税金問題

第1次ベビーブームで誕生した子供が親となり、第2次ベビーブームで誕生した子供たちの時代には生活スタイルがすっかり変わってしまい、多少の出生率増加はあったものの、第3次ベビーブームは起こりませんでした。

人口増加に伴うマンモス団地の建設ラッシュから、バブルを経て団地などの集合住宅から一軒家へと住まいの主流が変わっていく中で、ベビーブームの衰退で人口は減り特に日本は海外と違い、中古住宅市場が盛んではないため空き家ができては新築が完成していくということを繰り返しており、空き家が増える一方となっています。

10年後には世帯数に対し、人が住んでいる家よりも空き家が上回ると予想されている地域もあります。

近年になりやっとリノベーションという認識が増え、築年数が長い集合住宅を若者と若い家族に住んでもらえる街に変えていこうという動きも増えてきています。

しかし、いろいろな政策がとられている中でも、地方から都会へ上京する若者が増えるため家を継ぐということも年々減少しています。

この様な社会事情も一個人の生前整理に大きく関わってきているのです。

トラブルを回避するためには?一軒家の空き家問題

なぜこんなにも空き家になることが社会問題になっているのでしょうか。

それは、空き家を狙って不法投棄をしたり、放火をされたり、空き家に不法侵入して犯罪者が活動の拠点とする事案が発生しており、安全面でも衛生面でも問題視されているからです。

自身の死後、自宅が不法投棄の現場になり、見ず知らずの人が勝手に自宅を使って犯罪がおこってしまっては、家族にも、近所の方にも迷惑がかかります。

空き家になった自宅が強制撤去、取り壊しになった場合、所有権がある子供や孫、親族に結果として迷惑をかけてしまうことになります。

意外と知られていない分譲集合住宅の空き家問題

この自宅の処分問題、空き家問題は一軒家に限ったことではありません。

分譲の集合住宅であるマンションや団地は一軒家と同様に、個人の所有物になります。

しかし、一軒家と大きく違うのは個人の部屋を手放したところで建物を更地にできるわけではありません。

固定資産税がかかることを考えると、ずっと空部屋にしておくこともできません。

必ず次の世代に引き継ぐか、売りに出すのか処分方法を考えなければなりません。

さらに、分譲の集合住宅を手放す多くの人が、子供たちと同居をするか、施設に入居するか、賃貸に引っ越すかのいずれかを選択することになります。

引っ越しの費用や時期も家族と相談していかなければいけません。

分譲の集合住宅は、部屋は個人の所有物ですが建物自体は個人の物ではありません。

分譲の集合住宅も生前整理をする中で、家族と話し合い自宅の処分方法を決めなければいけません。

シングル者、おひとり様へ生前整理の勧め

シングル者、おひとり様と一括りにしても、生活事情は様々です。

パートナーはいないが、子供や親戚など頼れる人がいるシングル者、おひとり様もいれば、自治体や民生委員、施設のケアマネージャーなど親族外で手助けをしてくれる人がいる、または、短命の家系というものがあり、親兄弟姉妹が先に死別しており困った時に手伝ってくれるような親族もいない天涯孤独の方もいます。

いずれかの理由でシングル者、おひとり様で生活している方にも必ず最期はやってきます。

つい、目を背けがちな話題ですがシングル者、おひとり様の生活で社会問題になっているのが孤独死です。

孤独死が増えているのは、昔と比べて隣近所との交流や自治体への参加が減ってしまっていることが理由の1つです。

町内会や自治体には必ずお節介を焼いてくれる人がいたものです、今ではご近所でお節介を焼いてくれるような人をほとんど見ないのが現状です。

人とのつながりが薄いため、救急車を呼ぶことができない、死後の発見が大幅に遅れてしまう。ということが起きてしまうのです。

この様な人とのつながりが薄い時代背景からも、シングル者やおひとり様は親族とのつながりや隣近所とのつながりを日ごろから持っておくこと、自身から協力を求めるような終活をすることが重要です。

また、親族や隣近所に頼れる人がいなくても、役所に相談して民生委員を派遣してらう、デイサービスを利用するなど積極的に他人との交流を持つことが大切です。

生前整理において協力者がいるということはとても心強いことです。

シングル者やおひとり様にお勧めの生前整理方法

シングル者やおひとり様が1人で生前整理をすることはとても大変です。

やはり終活、生前整理には協力者が必要ですが、シングル者やおひとり様の中には誰にも迷惑をかけたくないという方もいます。

そういった誰にも迷惑をかけずに終活、生前整理を希望する方には、生前整理業者の利用をお勧めします。

生前整理の業者によって価格は様々ですが、相場は部屋の広さで費用が決まります。

東京の平均相場は1Kの部屋で約40,000円~、不用品の処分をしてくれ、そのほかにも清掃業務など様々なオプションも用意されています。

また、最近CMでも目にするようになった新しいサービスが、引っ越し業者による生前整理です。

シニアパックのお引越しというもので、シングル者、おひとり様が介護施設や老人ホームに引っ越しするときのための引っ越しプランです。

シニアパックの引っ越しは、引っ越し先に何が必要で、処分品はどうしたら良いのかなど、引っ越し前にシニアパック専属の相談員が訪問し、引っ越し先に合わせて処分品の選別のアドバイスをしてくれます。

生前整理で不安のない最期を目指す

生前整理は自分の問題だけではありません。

家族や親族につながっていく深刻なトラブルや社会問題にも発展していきます。

大きな財産が無いから生前整理は特に何もしなくても良いということではありません。

自身のセカンドライフを快適に過ごすためにも、その後に残される家族や親族の為にも今から生前整理を始めて、不安や心配のない最期を迎える準備をしましょう。

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