遺品整理とは、亡くなった故人に代わり家族や親族が、残された身の回りの品を整理することを指します。

遺品整理の大きな特徴は、故人本人がおこなう生前整理と違い、遺品に対する故人への思い入れが一層強くなることです。

なぜなら、生前整理は必要な物と不要なものを簡単に判断で来ますが、残された遺族にとって、遺品は全て大切な思い出になってしまうからです。

遺品整理は家族が故人の死と向き合い、気持ちを整理するためにも遺品整理はとても重要なポイントです。遺品整理のHow toと失敗しない遺品整理のコツを確認していきましょう。

遺品整理の下準備を始めよう

遺品整理は大掃除とは違い、下準備を入念にしていく必要があります。

なぜなら、下準備を行わないことで遺品整理が思うように進まないだけではなく、廃棄してはいけない品などが残されている場合、故人の遺志に反し買ったに廃棄してしまうと、財産分与にも関わってくる可能性があり、トラブルの原因になる可能性があるからです。

まず、遺品整理を始める前にエンディングノート、終活ノート遺言書など故人の遺志が確認できるのもがあるかどうか確認しましょう。

エンディングノートや終活ノートには法的効力がないので、故人の遺志を尊重するために遺品の処分方法や財産の分配方法を確認し、可能な限り故人の遺志をくみながら遺品整理をしましょう。

遺言書がある場合は、法的効力がありますので遺族の遺志に関係なく、遺言書の内容に沿って遺品の整理をしなければなりません。

トラブル回避のため兄弟姉妹、親族には必ず連絡をしよう

遺品整理で起こるトラブルは兄弟姉妹、親族間の遺品に対する思い入れの違いによるものです。

それぞれの趣味趣向や、故人との思い出があるため遺品整理をしている遺族だけの判断で遺品を処分してしまうと、『故人から譲りうける約束をしていた』『趣味が同じなのでコレクションを引き継ぐ約束をしていた』『一緒に遊んだ思い出の品を捨ててほしくなかった』など、廃棄後に取り返しがつかないことになってしまいます。

自身がいらないと判断した遺品でも、他の兄弟姉妹や親族にとっては大切な品の可能性も十分にありますので、遺品整理を始める下準備として必ず、兄弟姉妹や親族などの関係者には事前に連絡をし、遺品整理を一任してもらえるのか?または残してほしい品があるのかなどの確認をしておきましょう。

また、遺品整理は体力も必要になりますので、スケジュールを合わせてお手伝いをしてもらうことも必要ですし、一人で遺品整理をして事で遺品が紛失したなどの、あらぬ疑いをかけられる可能性もあるため証人を得るという目的の為にも、複数の人と遺品整理をすることをお勧めします。

遺品整理のHow to 何から手を付ければいいの?

遺品整理は状況によっては、住宅一軒分の遺品を全て処理、処分する必要がありますので、膨大な時間と体力が必要になりますので遺品整理をスムーズに進めるコツは、まず始めにスケジュールを組むことです。

遺品整理をするのに一番早いのは、忌引きの間に遺品整理をすることですが、葬儀後は銀行や役所などの各種手続きに追われてしまうので、様々な手続きが一段落したら、落ち着いて遺品整理を始めると良いでしょう。

遺品整理のスケジュールの組み方とは?

スケジュールの内容は日時だけではなく、何月何日にどこの部屋の遺品整理をするか、遺品整理を始めた部屋の終了日は何日に設定するかなど、細かいスケジュールを設定すると、無駄に時間を長引かせることなく遺品整理を進めることができます。

また、スケジュールの決定も独りよがりで決めてしまうようなことはせず、必ず兄弟姉妹や親族のスケジュールも加味しながら予定を決めましょう。

お互い仕事や故人宅までの距離など、様々な事情があるかと思いますがトラブル回避の為にも、必ず連絡をして遺品整理のスケジュールを立てるようにしましょう。

遺品整理に必要な道具を準備しよう

遺品整理とは『形見分け、引っ越し作業、大掃除』などが混ざったような作業になりますので、スムーズに遺品整理をするためには事前に必要な道具を取り揃えておくことがポイントです。

遺品整理で役立つ道具
ゴミ袋:故人宅がある地域の指定ゴミ袋を用意しましょう。クリーンセンターなどに処分品を持ち込む場合は、予め近くのクリーンセンターに問い合わせと連絡をするようにしましょう。
段ボール:断捨離箱としても使えますし、後に形見分けで譲りうける遺品を運ぶこともできます。状況によっては、遠方の兄弟姉妹や親族に発送が必要になる場合もありますので、ある程度の強度がある段ボールを用意しましょう。
掃除用品:軍手、ほうき、ちりとり、ハタキ、雑巾などを用意すると便利です。
雑貨用品:サインペン、油性マジック、ガムテープ、紙テープ、ヒモ類があると梱包などの作業がスムーズに進みます。

また、故人宅がまだ水道やガス、電気が使用できるうちに遺品整理をする事をお勧めします。

なぜなら、冬場の作業や夏場の作業は冷暖房がないと非常につらいですし何よりも夏場は熱中症が恐いので、水分補給をこまめにするようにし、水分だけだと危険ですので、塩飴や塩分タブレットを携帯するか、スポーツ飲料水を飲むように心がけましょう。

下準備が終わったら、必ず一番にする遺品整理とは?

下準備が無事に終わったら、いよいよ本格的に遺品整理をはじめましょう。

遺品整理を始めるにあたり、一番重要で必ずスタート時に手を付けるべき遺品は『貴重品類』です。

貴重品類は先に探しだしておかないと、間違って廃棄してしまう可能性がありますので、まずは貴重品類の洗い出しをし、別の場所に保管をするところから始めましょう。

遺品整理における貴重品の種類と管理方法とは?

貴重品類もいくつか種類がありますので、ご紹介します。

遺品で重要な貴重品類
クレジットカード:単純に切って捨てるのではなく、必ず契約内容を確認し、借入金の有無や年会費、ポイントの残数などを確認して契約会場の手続きをしましょう。
通帳、キャッシュカード:凍結された銀行口座を解約するために必要です。通帳の中が0円でも記帳してないだけの可能性もあるので、安易に廃棄をするのはやめましょう。
印鑑類:三文判の場合もあれば、印鑑登録をしている場合もあります。人によっては全ての銀行口座の印鑑を変えて登録をしている可能性もありますので、印鑑は全て保管しておきましょう。
有価証券:残された有価証券は遺産相続の際に財産分与に含まれますので、有価証券に関する書類などは全て捨てずに保管をしておきましょう。

見落としがち、安易に扱ってしまいやすい遺品とは?

クレジットカードや銀行通帳やキャッシュカード、有価証券など、明らかに金銭に直結しそうな遺品は、必要な物と判断しやすいのですが、遺品の中には価値が不透明な物や一見するとよく分からない物も存在します。

間違って貴重な品を廃棄処分しないように、以下の物も先に分けておくと良いでしょう。

見落としがちな貴重品類
貴金属類
骨董品類
美術工芸品

アクセサリーなどの貴金属類も、素人では判断できない骨董品や美術工芸品も金銭的価値があれば全て財産分与の対象になりますので、遺品整理の中で気に入った品だからと言って、他の相続人に相談もせずに自分も物にすることは大きなトラブルになります。

万が一、どうしても思い入れが強く形見分けを希望する貴金属類や骨董品、美術工芸品がある場合は、必ず相続人になる方たちに相談をしましょう。

趣味のコレクションや故人の写真や手紙類

趣味のコレクション類は興味がない人にとっては、不用品ですが同じ趣味を持つコレクターにとっては貴重な品になることもあります。

例に挙げると『切手、記念硬貨、シールやカード類、フィギュア』などですこれらのコレクションは、遺族が引き継ぐこともできますしフリマサイトなどで出品をするのも1つの方法ですので、故人のコレクション類もどのように処分をしていくのか、相続人と相談しながら遺品整理を進めていきましょう。

また、故人の写真や手紙には貴重な記録が残されている場合もあり、年代によっては、写真はフィルムやネガのまま保管されている場合がありますので、ネガはデータとして残していつでも現像できるようにしましょう。

手紙に関しては、相続人以外への形見分けが記された内容が残っていたり手紙そのものが貴重な場合がありますので、現物のまましばらくは保管しておくようにしましょう。

貴重品類の仕分けが終わったら、本格的に遺品整理を始めよう

遺品整理をするにあたり、遺品の処分方法は大きく4つに分かれます。

段ボール箱などを利用し、それぞれの区分で仕分けをしながら片付けて行くと、楽に遺品整理を進めることができます。

遺品整理の仕分け方のポイント
故人の愛用品を形見分けとして、遺族や故人の友人にわけること
廃棄品として処分をする(地域のごみ分別方法を事前に調べて共有しておく)
リサイクルショップやフリマアプリなどで売ってしまう
処分を悩む遺品は一時保管をすること

どちらの遺品整理の方法も、必ず遺族や親族、相続人との話し合いのうえで決定しなければいけませんので、遺品の処理方法はルールを決めてお互いに共通した意識で進めていくと、よりスムーズに遺品整理をすることができます。

また、遺品整理をした当時は思い出の品を処分できなかった場合は一定の期間を決めて、その期限が来ても触ることが無かったら思い切って処分をすることをお勧めします。

時間が無い方やシングル者、おひとり様必見!遺品整理業者とは?

遺品整理をしたくても、仕事などで時間が無い方、シングル者・おひとり様で遺品整理の手伝いをしてくれる親族がいない方、高齢者や病気などで力仕事ができない方など、遺品整理をすることが難しい方もたくさんいます。

そこで、お勧めするのが遺品の整理を遺品整理業者に委託することです。

費用は掛かりますが、遺品整理業者は不用品の買い取りと処分や特殊清掃などを請け負っている業者もありますので、遺品整理における様々な手間を省くことができます。

遺品整理業者を選ぶポイントとは?

終活という言葉が出始めてから10年以上が経過し、今では遺品整理や生前整理なども当たり前になってきましたが、やはり需要が増えると共に増加するのが詐欺や悪徳業者の存在です。

大切な遺品を雑に扱われ、勝手に廃棄処分や転売をされた。
遺品整理業者に遺品や貴重品を盗難される、詐欺まがいの高額請求をされる。
などといった被害にあわないように、遺品整理業者を見極めるポイントをご紹介します。

安心して任せられる遺品整理業者とは?

悪徳な遺品整理業者の被害にあわないためにも、遺品整理業者を選ぶにはいくつかのポイントがありますので、ご紹介します。

安心できる遺品整理業者
見積書の記載が細かく、詳細をはっきりと記載している
遺品整理士の資格を保有している
費用は多少かかっても大手の会社が委託している業者を利用する
キャンセル料金がはっきりしている

安心できる遺品整理業者は明瞭会計で、キャンセル料の説明も明確です。

キャンセル料をはぐらかすという事は、キャンセルさせるつもりが無いと捉えることも出来ますし、実際にキャンセルを拒否する業者も存在しますので、遺品整理業者は資格を保有していて、遺品に対するアドバイスや故人に対する気持ち、遺族に対する心のケアをしっかりとしてくれる業者に依頼をしましょう。

また、見積もりを数社から出してもらうこと、回収された遺品がどこでどのように処理されていくかなど、遺品の行き着く先や供養方法、処理方法も聞いておくと安心です。

危険な業者:雑な見積もりの書式と内容

見積書が雑な遺品整理業者は、依頼の候補から必ず外してください。

安心な遺品整理業者でも担当者の性格によってはざっくばらんで一見すると大雑把に感じる説明をする人はいるかもしれませんが、業者として提示してくる見積書の書式本体がが、最初から雑な業者はとても危険です。

費用に対する詳細が記載されておらず、『遺品整理一式○○円』という見積もりは、どこからどこまで整理をしてくれるのかが曖昧で、後々に何かお願いをすると追加請求をされる場合があります。

平均的な価格よりも異常に安価な見積もりの場合は、依頼を辞めましょう。

危険な業者:遺品整理士の認定書を持っていない

悪徳な業者でも、遺品整理士の資格を保有していると謳っている場合もあり、インターネットのホームページなどで、遺品整理士資格保有者など紹介していることがありますが、遺品整理士の資格を保有している方は認定証を必ず持っているので、見積もりの段階で認定証の提示を求めた際に認定証が無い場合は、その業者には依頼をするのは辞めましょう。

もちろん、資格をまだ持っている社員が少なくても、丁寧に遺品整理をしてくれる業者もたくさんありますが、資格を保有していると謳っていて実際は保有していないというのは詐欺になりますので、注意をしましょう。

危険な業者:実態が分からない業者

今はインターネットや電話一本で何でもできる時代になりましたが、実際の遺品整理の日まで、担当者や営業マンに一度も会わずに始まる業者は危険です。

全てのインターネットで出てくる業者が悪いということではなく、インターネット上でしか存在せず、会社としての住所が存在せずに、遺品整理で出た廃品を山などに不法投棄する業者もおり、遺品業者が不法投棄した遺品の中から個人が特定できるものが出てくれば、依頼主に連絡が入り罰せられてしまいます。

この場合、業者の住所はでたらめなので結局遺族が廃品の撤去費用を負担することになります。

万が一を考えて遺品整理業者への依頼が不安な方は、少し費用が高くても、大手引っ越し業者と提携している会社や、テレビコマーシャルなどで大々的に宣伝している、大手の遺品整理業者に依頼をすると良いでしょう。

遺品整理業社の費用の相場とは?

遺品整理業者の費用は会社によって様々で、サービスの内容によっても変わってきますが、目安としての平均金額があります。

遺品整理業者はほとんどが部屋の広さによって、費用を算出しています。

◇遺品整理業者の平均費用
・ワンルーム、1K:30,000円~100,000円ほど
・1 DK~1 LDK :50,000円~250,000円ほど
・2LDK以上  :90,000円~400,000円ほど
・3LDK以上  :130,000円~700,000円ほど
・4LDK以上  :150,000円~800,000円ほど
・戸建て住宅  :800,000円以上~

部屋の広さに加えて、ロフトやサービスルームが付いていると費用が少し変わることもあります。

基本の遺品整理作業がどこまで一式に入っているのか?オプション作業はどこからなのか?など見積もりを作成する際に、細かいところまで確認をするようにして、追加料金の発生する条件など事前に知っておくことで遺品整理業者とのトラブルを回避することができます。

お友達価格にご注意を!

例えば、友人や知人、ご近所に遺品整理業者で働いている人がいる場合、お友達価格などの費用の安さなどから、ついつい依頼してしまいそうですが、遺品整理をするという事は個人情報や生活環境を全てさらけ出すという事です。

遺品整理業者として友人やご近所さんに頼み、本人以外が担当として来てくれる場合は問題ありませんが、友人本人が担当として来た場合、見られたくない、知られたくないことが知られてしまうという事です。

費用が安くなるからと安易に友人や知人に遺品整理を依頼すると、後々の関係に亀裂が入る恐れもありますので、注意をしましょう。

曖昧な費用の表現にご注意を!

最近の様々なサービス業で見受けられる、価格や費用の表示方法ですが『10,000円~』や『10,000円より』など、上限金額の表記がない場合は注意が必要です。

これは、最も安い金額の表記方法なので表示の金額で納まると思って依頼をした結果、上限金額が高額になってしまうことがあり、この場合には最終的に相場の価格よりも大幅に高額な費用が請求されてしまいます。

また、『基本価格』、『標準価格、別価格』も安く感じる表現の1つですが『基本価格』、はあくまでも『基本』ですので、サービス内容が薄く希望の作業をしてもらうには追加料金を支払う必要があります。

さらに『標準価格、特別価格』は標準的な金額は業者が勝手に設定した金額にしかなく、世間一般の価格では無いということ、特別価格も業者が勝手に設定した金額であり、必ず世間一般の平均価格に比べて特価では無いという事です。

不用品、廃品業者と遺品整理業者の違いとは?

手近なところで時々自宅の周辺を回っている、廃品業者のトラックを
見かけますが、手近なところで済むことはメリットですが、あくまでも不用品、廃品回収なので全てゴミとして扱われます。

遺品としてではなく、あくまでも不用品なので乱雑に扱われることも当たり前ですので、遺品を大切に扱って欲しいと思う場合は、必ず遺品整理業者に依頼をしてください。