葬儀・葬式

お葬式をあげる日付や時間などは誰にもコントロールすることはできません。

『葬儀とは突然として始まり、そしていつの間にか終わっている』という程臨終からお葬式が終わるまでの間は、物事の順序ゆっくりと考え決めているている暇はありません。

それほど葬儀日程というものは、あっという間に過ぎていきます。

故人のためにはどのようなお葬式が最適なのか、遺族のためにはどのようなお別れが後悔しないお葬式になるのか。

終活の中で失敗しないお葬式の知識を学び、いざという時の為の心構えを一緒に確認していきましょう。

葬儀日程や準備の忙しさを知り葬儀への心構えをする

お葬式とは、1日目お通夜、2日目葬儀・告別式のことを指します。

    臨終から火葬までの流れ(2日~4日間)

  • 1日目:臨終→親族への知らせ→ご遺体の搬送→宗教者への連絡と葬儀社との打ち合わせ
  • 2日目:打ち合わせに沿った葬儀の準備
  • 3日目:お通夜
  • 4日目:葬儀・告別式(初七日法要)→火葬

厳密に言えば葬儀と告別式は別もので、葬儀は親族が故人の冥福を祈るための時間であり、お坊さんにお経をいただきお焼香する儀式です。

告別式は友人・知人などにも参列してもらい最期のお別れをする時間になります。

ですから、座ってお坊さんにお経をいただいている時間が葬儀になり、棺にお花などを入れ故人に触れることができる最期の時間を告別式といいます。

この様に厳密にいうと葬儀と告別式の違いはありますが、葬儀の始めから友人・知人にも一緒に参列してもらうのが一般的です。

また、亡くなってから火葬までの日数や住職の都合など、その状況によっては初七日法要も葬儀と一緒に執り行われることもあります。

亡くなった時間帯や宗教者の予定や火葬場の予定によっては、2日目の準備期間の夜がお通夜になることもあるので、3日間で葬儀の全工程が終了することもあります。

家族が亡くなり気持ちが落ち込んでいる中、たった3、4日でお葬式を済ませなければいけません。

いざという時に焦って失敗しないように、終活の中で葬儀に対する心構えを持ちましょう。

終活で考える家族葬のメリットとデメリット

近年では家族葬と密葬が混同され、誰も呼ばない=家族葬という風習になっています。

もちろん大切な人が亡くなって、一番悲しいのは家族だと思います。

ですが、故人にとっては家族と同じように大切にしている知人や仲間がいることもありますし、遠い親戚よりも近くの知人というように、ご近所の方がよっぽどお別れを悲しんでいることもあります。

現代の葬儀は『宗教的観点からの故人の冥福を祈るため』という昔からの習慣よりも故人と家族のお別れの時間と捉えられるようになりました。

近年では葬儀の簡素化が進み、どの宗教にも属さない無宗教という実態も増加しています。

CMなどでもよく耳にする『家族葬』はメディアが作った言葉ですが、今では家族葬専門の葬儀会館たくさんあり家族葬が当たり前になっています。

メディアの情報を見ると家族葬はメリットが多いと捉えられがちですが、デメリットもあるのです。

家族葬のメリット
  • 家族だけで静かに故人とお別れができる
  • 近所づきあいや、会社関係などを呼ぶ煩わしさがない
  • 費用を抑えることができる

家族や親族だけでゆっくりと静かに故人を見送りたいという方や、葬儀費用を考えると小さく家族だけで葬儀をしたい。

という最近の葬儀事情から家族だけのお葬式、誰も呼ばずに無宗教で終わらせようといった葬儀が増えているのが実態です。

家族葬のメリットとしては、誰に気兼ねすることなく、他人のお世話をすることなく故人とのお別れに集中できることです。

家族葬のデメリット
  • 親族に声をかけなかったことにより親族間のトラブルに発展する
  • 故人の旧友などが自宅に弔問にくる、自宅に香典やお悔やみの品送られてくる
  • 費用を抑えるつもりが最終的には一般の葬儀より費用がかかってしまう

家族葬のデメリットは、家族葬の定義の設定をどのようにするのかで決まります。

どこまでの範囲を家族葬と捉えているのか、家族葬ではなく密葬ではないのか?ということです。

この定義を間違えてしまうと家族葬のデメリットの壁にあたってしまうのです。

最近ではご近所も友人も呼ばない。最悪のケースとして親族も呼ばすに葬儀を済ましてしまうということが増えてきています。

誰も呼ばずに本当の家族だけで葬儀をすることは、厳密に言うと『密葬』になります。

密葬は必ずと言えるほど親族間のトラブルの元になりますので、密葬をする場合は必ず関係者に了解を得てからにしましょう。

家族葬の定義と家族葬のトラブル実例

それでは家族葬の定義とはどういったことかを確認していきましょう。

家族葬の定義
会社関係はお断りし、町内会や友人は参列する
会社関係、町内会はお断りし、友人は参列する
親族以外は一切お断りをする
親族関係も全てお断りし、一緒に住んでいた家族または親子だけで密葬をする

この家族葬の定義では葬儀に参列できない方からの供花や弔電、お香典はいただくのかお断りするのかといった問題も出てきます。

家族葬後のトラブル実例
喪中はがきなどで後日訃報を知った知人が弔問に来る
故人しか知らない友人からお悔やみの品や香典が送られてくる
ご近所の方がバラバラの時間帯にお線香をあげにくる
郵送物の住所が喪主宅に設定されておらず、香典などの受け取りができない

現役で働いている喪主は空き時間は葬儀後の手続き、弔問客の対応やお香典返しの手配に追われ、パートナーをなくした方は弔問客の対応に追われ自宅にいるのが億劫になり、やむなく外出をしなければならなくなるという事例があります。

さらには、シングル者で亡くなった方の郵便物や荷物の受取人転送先が設定されておらず喪主に香典などが届かないといったトラブルも発生しています。

この様に家族葬で済ませてしまった後に、一区切りが付くまでずっと香典返しや弔問客の対応に追われてしまうことが実際にあるのです。

お香典返しもお葬式の中で済むはずのことが、家族葬で済ませたことにより結果費用がかさむ原因になります。

家族葬は家族だけで温かく和やかに葬儀ができるという大きなメリットがありますが、家族葬を終えた後のデメリット面を回避する為にも家族と相談し、どこまでを家族葬にするのかという定義を終活の中で決めることが重要です。

お葬式に来てほしい人のリストを作成するのも家族に伝える良い手段となります。

葬儀費用で回避したいトラブルとは

人が亡くなる時にはいくつかのケースがあります。

闘病生活をしていて余命宣告を受けて病院生活をしている、自宅で最期を迎えるため自宅や介護施設で療養をしている、または不慮の事故や突発性の病気で突然亡くなってしまうというケースもあります。

万が一の場合に備えて心の準備をしていても、葬儀が始まるまでの時間は短く、猛スピードで進んでいきます。

ましてや突然亡くなってしまった場合はどうするべきか、まずは何をするべきか分からなくなってしまうでしょう。

臨終から葬儀までに注意するポイント
焦ってしまい葬儀社を自由に選ぶことができない
夜中など心労が溜まっている状態での葬儀打ち合わせ
格安葬儀でのオプションの後付け

注意ポイントの葬儀社選び

病院で亡くなった場合、病院で必要な手続きが終了するとすぐに自宅または葬儀社に搬送されます。早朝でも夜中でも関係なく病院からは出なければなりません。

病院によっては葬儀社と契約をしていて、決まった葬儀社が出入りをしています。

だからといって必ずその葬儀社で葬儀をする必要は無いのですが、気持ちが動転しているため流れでそのままお願いしてしまうことがあります。

希望の葬儀社がある場合は焦らずに、はっきりとその旨を伝えましょう。

注意が必要な葬儀の打ち合わせ

基本的に葬儀社との打ち合わせは夜中でも関係なく行われます。

心労が溜まった状態で、物事を考える余裕がないうちに打ち合わせが終わってしまうということも多々あり、葬儀後の請求書を見て青ざめる人もいます。

最近では格安葬儀が広まり、100,000円でできる葬儀など冠婚葬祭業でも価格破壊が起きています。
広告や宣伝で格安葬儀と謳っていても、あれもこれもあったほうが良いと勧められて、結局は100,000円で済まないこともありますので注意しましょう。

葬儀社の比較検討をして後悔しないお葬式をする

終活で大切なことは、事前準備として葬儀社を何社か比較してあらかじめ葬儀社を決めておくことと、費用の事前相談をしておくことです。

生前に葬儀社で事前相談をすることで、葬儀費用の概算を出すこともできますので、あらかじめ葬儀費用を把握し、家族に伝えることができます。

葬儀費用に不安がある方は冠婚葬祭のシステムで積立金の互助会というシステムもありますし、葬儀社独自の積み立て保険などもありますので、終活で葬儀の事前準備をすることで、葬儀費用や段取りで家族に迷惑をかけるのでは?という不安もなくすことができます。

自治体や葬儀社で開催される、終活フェアやお棺に実際入ってみる入棺体験、模擬祭壇などが展示される葬儀イベントなどに参加して、終活で実際の葬儀の模擬体験をしてみるのもいいでしょう。

お葬式以外に必要な経費を知る

お葬式とは関係なく臨終から火葬までに必要な費用
死亡診断書または死亡検案書作成(3,000円~100,000円ほど)
病院からの故人の搬送料金(距離で料金が変わることが多い)
宗教者に支払うお金(仏教でいうお布施。必要ない人もいる
火葬料金(公営か私営か、市区町村でも設定は様々。無料~300,000円ほど)

臨終から発生する必要経費はまず死亡診断書の費用です。

病院で亡くなった場合や自宅で亡くなった場合でも医師が故人の病状を把握していて亡くなった場合は、『死亡診断書』が適用され、費用は病院にもよりますが3000円~10,000円ほどになります。

これは病院から請求になるので、退院をする時にお金を払うような感覚といえます。

もし、不慮の事故や自殺など医師が病状など把握していない状況で亡くなってしまった場合は『死体検案書』が適用されます。

どちらも同じ効力のある書類ですが、死体検案書の場合は警察が事件性の有無を確認し、医師が検案をするので死体検案書の費用は30,000円~100,000円ほどです。

死亡検案書は死亡診断書と比べて価格が約10倍になります。

次に、病院や施設によっては葬儀社と病院の契約上や遠方で亡くなった場合に希望の葬儀社を呼べないこともあります。

そうなると、希望するところとは別の葬儀社や搬送業者にお願いする場合もありますので搬送料金として、別途料金が発生する可能性があります。

宗教者へのお金、仏教でいうとお布施になりますが、宗教者へのお金は必要な人もいればそうでない人もいます。宗教によってさまざまなので、金額はあらかじめ下調べをしておくと良いでしょう。

最後は火葬料金です。これは火葬場を市区町村で経営しているか民間で経営しているかで価格が変わります。また、地域によっても価格が大幅に変わります。

市区町村で運営している公営火葬場の火葬価格は無料~5,000円が多く、住民だと火葬料は無料というところもあれば、数千円ですが必ず火葬料がかかる市区町村もあります。

市区町村の境に住んでいる方は、隣の市区町村の方火葬場に近い場合もあります。

その時は住民外料金として、数万円の火葬料がかかる場合があります。

民間が運営している民間火葬場は地域によりますが300,00円と高額な火葬料になります。

お金がかかるのはお葬式だけではありません。お葬式以外にも必ず必要な費用があります。

お葬式をしてもしなくても、火葬をするまでに必ずかかる費用があるということを忘れないでください。

ぼったくりに要注意!葬儀費用の基礎知識

葬儀費用の金額は本当にピンキリで一番低い相場で約100,000円~、費用をかけようと思えば300万でも500万でもお葬式に費用をかけることができます。

金額がなぜそこまで変わるのかというと、骨壺や棺、白装束にもランクがありやはり大理石でできた骨壺や、彫刻彫りの棺などを選べば必然と費用は高くなりますし、祭壇も大きければ大きいほど費用はかかります。

こういった骨壺や棺のオプション価格を抜かした、葬儀をするために必要最低限の費用をご紹介します。

この図のように、葬儀費用が変わってくる理由の大半は、祭壇を使用するかしないかの違いになります。

フラワー祭壇はお花の使用量が多くなるほど、祭壇にかかる費用は高くなります。

祭壇以外にかかる葬儀費用

葬儀社はレンタル業といわれるのはご存じでしょうか?

例えば祭壇ですと、祭壇のベースになっている部分は使い捨てではありません。

式場にしてもレンタルスペースと考えられますし、霊柩車も送迎のバスも長年使用しているものです。

ですから、お葬式のベースになる部分はレンタル代と考えると簡単です。

しかし、ベース以外の部分は全てオプション品と追加料金になります。

主なオプション品と追加料金
湯灌(家族が湯灌を手伝える、髪染めなどのオプションがある)
骨壺(シンプルな骨壺から九谷焼や大理石などランクがある)
お棺(彫刻やカラーなどで価格が変わる)
遺影(写真だけではなく、電飾の写真や手書きアートなどのオプションがある)
返礼品(500円~数万円まで幅広い品物がある
通夜振る舞いや精進落としなどの食事(料理にもランクがある)

この様に葬儀費用と言っても、オプション品や追加料金を加えると費用はあっという間に高くなっていきます。

お葬式以外にも必ずかかる費用ありますので、100,000円でお葬式ができると思っていても、あくまでもそれは一番シンプルなお葬式で葬儀費用以外の金額は抜いた価格です。

葬儀社との打ち合わせは、忙しい中どんどん進んでいきます。

家族が納得し故人の為にやってあげたい。という気持ちがあるのならいろいろなオプションを追加することはとても良い事です。

しかし、考えがまとまらないうちにどんどん進んでいく葬儀社との打ち合わせの中で、オプション品、追加料金で金額を吊り上げられてしまったということは無い様に、お葬式で必要なこと、やってほしいことを事前に記録しておきましょう。

無宗教葬儀のトラブルを回避するためには

一般的なお葬式にデメリットを感じる人の多くに、お寺との付き合いである檀家

制度を受け入れることができず、無宗教で葬儀を済ませる方もたくさんいます。

お寺を呼べばお布施も掛かりますし、何よりも年間を通してお寺とのお付き合いの行事ごとが多く、葬儀のお布施だけでは済まないのも事実です。

無宗教での葬儀は僧侶を呼ぶか呼ばないか、戒名をもらうかどうかという選択肢があります。

戒名をもらう場合は僧侶にお願いしなければならないので、派遣の僧侶や単立寺院のようないわゆる『みんなのお寺』と呼ばれているお寺にお願いする必要があります。

ですが、近年無宗教で葬儀を終えた後にトラブルに巻き込まれて困っている方達もたくさんいます。

無宗教葬儀でトラブルが発生する例
本家に檀家があるのに遠方だからとお寺を呼ばない
無宗教葬儀の後にやはり戒名が欲しくなった
購入しようと思っていたお墓が寺院墓地だった

特に本家のお墓に入る予定だった場合、戒名をもらわず住職も呼ばなかったとなるとお寺を蔑ろにしたことにより親族間のトラブルに発展するうえ、お墓に入ることができません。

さらには、お墓に入るためにお寺でもう一度葬儀をしなければならない例もあります。

檀家がない家でも、最近では寺院が管理する寺院墓地で、○○パーク霊園など名前だけだと民営墓地と区別がつかない霊園もありますので、お墓の購入をする際に実は檀家にならなければいけない。ということになります。

無宗教がダメとかそういったことではありません。しかし、安易に無宗教で葬儀をしたために、戒名代やお布施など思わぬ費用が発生することがあります。

このようなトラブルを回避するためにも、終活はとても重要になるのです。

お葬式の後にやるべきことを確認しよう

お葬式が終わった後もやらなければいけないことはたくさんあります。
仏教ですと四十九日法要、神道ですと五十日祭という霊祭があります。
その法要や霊祭までに用意しておくべき物、やるべきことを確認しましょう。

  • 位牌、仏壇(神徒檀)を用意する
  • 法要や霊祭の日程を決め、案内状を作成する
  • 納骨までにお墓の用意をする
  • 高額なお香典をいただいた方のリストを作成し、後返しの用意をする
  • 法要や霊祭の式場や食事内容、返礼品を決める

仏教でいうと位牌ですが、位牌は四十九日の法要に使用しますので、必ず先に用意をする必要があります。

次に宗教者の日程を聞いて法要日を決定します。

日程が決まったら、案内状を作成し法要に参加してもらう親族に郵送します。

返信が来たら取りまとめて、食事や返礼品の数を決定します。

お葬式の時に高額なお香典をいただいた場合は、当日の返礼品に追加して法要を目途に追加でお返し物をする風習があります(地域により変わる)関東では半返しが基本ですので高額のお香典をくださった方のリストを作成しまとめておきましょう。

また、納骨に期限はありませんが法要の際に納骨を一緒にすることが多いのでお墓の準備も一緒にすすめましょう。

位牌や案内状など作成に時間がかかるものもありますし、法要までの期間はほぼ全て同時進行で進んでいきますので、作業の順番をリスト化して漏れの無い様に準備をしましょう。

お葬式の後に後悔をしないために考えること

何度も申し上げますが、無宗教が悪いということは一切ありません。

ですが、日本の現在の風習ですとやはり仏教観が強く葬儀後に、お墓事情や法要などのトラブルが起きてしまうことが多いのも事実です。

葬儀は終わったもののお盆やお彼岸、回忌法要の時になってあらためて『お経がないと故人は浮かばれないのではないか?』と悩む方も実は多いのです。

また、家族や親族の中に宗教の信仰心が強い方がいると、そこでも考え方の違いからトラブルが発生することがあります。

『死人に口なし』といいますが、故人の遺志とは関係なく、周囲の人間は自分の信仰していること、信じていることを強く進めようとする傾向があります。

信仰を勧めてくる本人にとっては、宗教を信仰すると故人や先祖が幸せになれると信じているからです。

もちろんそれも故人の幸せを願ってのことですから、悪いことではありません。

ですが、事前にトラブルが回避できるのであればそれに越したことはありませんよね。

終活では普段気にしていない宗教のこと、無宗教とはいったいどういったことなのかをよく考えてみましょう。

ただ単純に『面倒ごとが嫌だから無宗教』という安易な考えはトラブルの元になる可能性があります。

終活の中で葬儀と宗教への考え方について、自身の思いと家族・親族の思いは一致するのか?ということも考えていく必要があります。

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