セカンドライフ
子どもの独立や定年退職などによって第二の人生「セカンドライフ」を迎えたときに、自分の老後や最期について考え始める方は少なくありません。
セカンドライフでは、第二の人生を楽しく有意義に過ごすことが目標になりますが、自分や家族のために「終活」を進めておくことも大切になります。
「人生100年時代」といわれる現代において、自分の老後や死後について考え、今から準備を始めることは、今後の人生をより豊かなものにするための必要なステップです。
ここでは終活のセカンドライフについて、特徴やメリット・デメリット、始めるタイミング、すべきこと、イベント・サポート、関連資格などについて解説します。
終活のセカンドライフとは?第二の人生の歩み方
セカンドライフとは「第二の人生」のことであり、一般的に、定年退職後の残りの人生を指します。
人の一生には節目となる「ライフステージ」があり、就職、結婚、育児、子どもの独立、退職などの出来事によってライフステージが変化すると、生活スタイルや考え方も変わります。
定年退職後のライフステージは、第二の人生「セカンドライフ」と呼ばれることもあり、今後の人生を過ごす上で、とても大切な時期になります。
セカンドライフでは、自分やご家族のために、有意義な余生を計画する方も少なくありません。特に、自分の老後や最期を迎えるための準備活動「終活」は、セカンドライフで取り組んでいる方がたくさんいます。
健康寿命が世界第2位の日本では、定年退職後のセカンドライフを過ごす時間も20年以上になるといわれています。(※60才の平均余命/厚生労働省・平成27年度資料)
セカンドライフの始まりとともに、余生の暮らし方・楽しみ方、そして老後と最期に向けての活動「終活」についても考えてみましょう。
ここでは、セカンドライフにおける終活の特徴を解説します。
セカンドライフにおける終活の特徴とメリット・デメリット
終活とは「人生の最期を迎えるために準備・活動すること」を意味します。
「終活」という造語は2009年頃から世間に広まり始め、2010年には「新語・流行語大賞」にノミネートされました。そして現在では、「終活」は多くの人が知る身近な言葉となり、自分の将来を考えて終活に取り組む方が増えています。
一昔前は、自分や身内の「将来の死(最期)」について語ることは不謹慎だという見方もありましたが、現在では「終活」の広まりとともに、人生の終わりについて前向きな考え方や話し合いをする方が多くなっています。
実際に、終活にはさまざまなメリットがあり、終活を始めることで、今後の人生をより豊かなものにすることができます。
たとえば、終活のメリットには以下のようなものがあります。
●家族の負担を減らせる
●老後の不安を解消できる
●今後の人生に役立つ
終活には、自分の老後や死後の準備をすることで、家族の負担を減らせるというメリットがあります。
介護や終末期医療、葬式やお墓、遺品整理や遺産相続などについて、事前に準備・相談しておくと、残された家族の負担を減らすことができます。
そして、終活によって、老後や死後の心配事が解決できると、老後の不安を解消することもできます。
また、終活をとおして自分の人生を振り返り、見つめなおすと、やり残したこと・今後やりたいことなどが見えてきます。セカンドライフでやりたいことが明確になると、今後の人生をより明るく前向きにとらえることが可能になります。
このように、終活には多くのメリットがありますが、心配事(デメリット)もあります。
終活のデメリットには、老後や死後について取り組むため、自分や家族が不安を感じる可能性があることなどが挙げられます。
ですが、終活による多くのメリットを考えると、こうした終活のデメリットは挑戦する価値のある課題だと、前向きにとらえることもできます。
終活のセカンドライフ!始めるタイミングはいつが理想的?
セカンドライフで終活を始めるタイミングは、特に決まっていません。
一般的には、子どもの独立や定年退職、親の介護・看取りなどをきっかけに、セカンドライフで終活を始める方が多いようです。
終活そのものは何才からでも始めることができます。
20代の若い世代で終活を始めている方もいれば、60才の定年退職後に終活を始める方もいます。セカンドライフで終活を始めた方も、40代、50代、60代、70代と幅広く、人それぞれ異なります。
このように、終活はいつからでもスタートできますが、セカンドライフで終活を始めるときには、理想的なタイミングがあります。
ここでは、セカンドライフで終活を始めるタイミングを解説します。
終活のセカンドライフ。始めるタイミングは健康な年齢がおすすめ
セカンドライフで終活を始めるタイミングは、気力と体力に余裕のある年齢がおすすめです。
終活では、老後や死後についての希望をエンディングノートに書いたり、身の回りの片づけ(生前整理)をしたり、遺言書や財産リストを作成したりするなど、やることがたくさんあります。
そのため、終活をスムーズに進めるためには、ある程度の気力と体力が必要になります。
人は年齢を重ねるにつれて、認知機能が低下し、体力も衰えます。セカンドライフの後期になり、健康寿命を過ぎた高齢になってから終活を始めようとしても、健康上の理由から、終活ができなくなる方も少なくありません。
もっと早めに終活を始めていればよかったと後悔しないように、自分の心身が健康な状態・年齢のときに終活を始めることが理想的になります。
第二の人生「セカンドライフ」を迎えた直後は、自分の老後や最期について、まだ遠い先のことだから考える必要はないと思われる方もいます。ですが、病気や怪我などによって、ある日突然、お亡くなりになる方もいます。
万が一の事態に備えて、なるべく早めに終活を始めておきましょう。
終活のセカンドライフですべきこと。終活の種類を解説
セカンドライフで終活を始めるときに、何から取り組めばよいのかわからない・・・という方もいるのではないでしょうか?
終活の内容は多岐にわたり、終活でおこなうことは人それぞれ異なります。
一般的な終活の種類・内容を確認して、自分に必要なことから取り組んでみましょう。
ここでは、セカンドライフでおこなう終活の種類を解説します。
セカンドライフにおける終活の種類!主な10個を確認しましょう
セカンドライフの終活では、終活の知識を深めて、自分の老後や最期について真剣に向き合うことが大切になります。
「終活」が一般的な活動となった現在では、終活の情報サイト、関連書式、支援セミナー、応援イベントなどを利用して、終活の知識を深めることができます。
セカンドライフで終活を始めるときは、まず終活について興味を持ち、終活の情報を集めましょう。終活に興味を持って、終活の情報を集める・・・という活動も、立派な終活の一環になります。
そして、終活について学んだあとは、自分に必要な終活の種類・内容から取り組んでみましょう。
必要な終活の種類は、個人によって異なります。終活の種類を確認して、自分に必要なことから始めてみましょう。
一般的な終活の種類・内容は、以下のとおりです。
1. エンディングノートを書く
2. 自分史をまとめる
3. セカンドライフについて考える(趣味・旅行・資格取得など)
4. 老後の住まいを決める(終の棲家)
5. 葬儀・お墓について決める
6. 介護・終末期医療などを決める(延命治療、臓器提供なども)
7. 身の回りを片付ける(身辺整理・生前整理・財産整理)
8. 遺言書を作成する
9. 老後・死後にかかる資金の準備
10. ペットの行く末を考える
《セカンドライフ・終活の種類1》 エンディングノートを書く
「エンディングノート」とは、自分の老後や死後についての希望を、家族や周りの人に伝えるための方法です。
認知機能の低下(認知症)や入院・死亡など、自分に万が一のことがあった場合、「どのようにしてほしいか」という希望や願いを伝えるための手段がエンディングノートになります。
エンディングノートは自由に書くことができますが、一般的に「介護・医療、葬儀・お墓、遺品・財産」などについて記載しておく方が多いようです。
遺産相続に関することは法的効力をもつ「遺言書」が便利ですが、介護や葬儀などに関することは「エンディングノート」がおすすめです。
《セカンドライフ・終活の種類2》 自分史をまとめる
セカンドライフをきっかけに、自分のこれまでの人生を振り返って見つめなおし、自分史をまとめる方もいます。
自分史は、専用のノートを用意したり、エンディングノートを活用したりするなどして自由に作ることができます。
自分史をとおして、今までやってきたこと、やり残したことなどが明確になると、今後の人生ですべき目標が見えてきます。
《セカンドライフ・終活の種類3》 セカンドライフについて考える
子どもの独立や定年退職などによって迎えた、第二の人生「セカンドライフ」について考えることも終活の一環になります。
今後の人生をより豊かなものにして、悔いのない老後と最期を迎えるためにも、セカンドライフの過ごし方を考えてみましょう。
セカンドライフでは、趣味を増やしたり、旅行を楽しんだり、生涯学習(生涯教育)を始めたり、資格認定にチャレンジして合格・習得したりするなどして、第二の人生を有意義に過ごすことができます。
もちろん、エンディングノートや遺言書の作成、生前整理といった終活も、セカンドライフにおける大切な活動の1つになります。
《セカンドライフ・終活の種類4》 老後の住まいを決める
セカンドライフの終活では、老後に暮らす住まいについて考える方もいます。
今の住居で一生暮らすのか、それとも都会や田舎に移住するのかなど、自分が最期を迎えるときまで生活する住まい「終の棲家」について考えます。
都会暮らしと田舎暮らしには、それぞれメリット・デメリットがありますので、住宅の立地(利便性)や近所付き合い(人とのつながり)などを参考に、老後の住まいを考えてみましょう。
《セカンドライフ・終活の種類5》 葬儀・お墓について決める
自分が亡くなったあとの葬儀やお墓について、生前から決めておくことは、終活の大事なポイントになります。
葬儀の有無や内容、納骨の方法など、自分の希望がある場合は、家族に相談しておきましょう。
また、葬儀やお墓にかかる費用を計算して用意しておくと、自分の死後、残された家族の負担を減らすことができます。
《セカンドライフ・終活の種類6》 介護・終末期医療などを決める
高齢になるにつれて、人の心身は衰えていきます。老後の介護や終末期医療、臓器提供の意思などについても、セカンドライフの終活で決めておきましょう。
誰にどのような介護を受けたいのか、病気の回復が見込めない「終末期」ではどのような医療(延命治療)を望むのか、臓器提供の意思はあるのか・・・など、自分の老後について、家族と話し合っておくと安心です。
《セカンドライフ・終活の種類7》 身の回りを片付ける
身の回りを片付けてスッキリさせることも、終活の一環になります。自分の死後、自分の所持品はすべて「遺品」となり、残された家族が「遺品整理」をします。
そのため、セカンドライフの終活で身辺整理(生前整理)をおこなうと、遺品整理をする家族の負担を減らすことができます。
また、不要なものを売却・処分することで、老後資金を増やしたり、気持ちの整理をつけたりすることもできるというメリットがあります。
片づけが苦手な方、自分だけでは片付けられない方は、生前整理の専門業者に委託することもできます。
《セカンドライフ・終活の種類8》 遺言書を作成する
自分の遺産について、相続人や相続割合などの希望がある場合は、遺言書の作成がおすすめです。
遺言書がない場合、「誰が何をどのくらい相続するのか」といったことは、法律や相続人全員の話し合い(遺産分割協議)によって決まります。ですが、法的効力をもつ遺言書があれば、自分の遺産について自由に決めることができます。
遺産相続では、家族や親族の間で争いとなるケースも少なくありませんので、生前に遺言書を作成しておくと安心です。
《セカンドライフ・終活の種類9》 老後・死後にかかる資金の準備
セカンドライフでは、老後の生活費だけでなく、介護・医療、葬儀・お墓などの資金も準備しておくと安心です。老後や死後にかかる資金を見積もりして、家計の見直しや年金の積み立て、資産の売却などを検討しましょう。
いざというときの生命保険や、生前契約(任意後見人制度・死後事務委任契約など)の準備を進めておくと安心です。
《セカンドライフ・終活の種類10》 ペットの行く末を考える
ペットを飼っている、またはこれからペットを飼う予定の方は、ペットの行く末についても考えておきましょう。
自分の死後にペットのお世話をしてくれる人を決めておき、事前に相手に了承を得ておくことが大切です。
セカンドライフでペットを飼う方は少なくありませんが、犬の平均寿命は12~15年、猫の平均寿命は15年といわれています。それに対して、人間の寿命は男性81.25年、女性87.32年(※厚生労働省の平成30年簡易生命表)となっています。
ペットを飼っている場合は、自分の入院や老人ホームの入所、死後などに備えて、ペットの行く末も考えておきましょう。
終活のセカンドライフに役立つ情報!セミナー・イベント
近年、セカンドライフの終活に関連したイベントや事業セミナー、企業サポートなどが増えています。
終活については関連書籍や情報サイトも多くありますが、終活の専門家やカウンセラーのアドバイス、終活の最新情報を知りたいときは、終活のセミナーやイベントを利用すると便利です。
ここでは、セカンドライフにおける終活のセミナーやイベントなどを解説します。
セカンドライフの終活をサポート。セミナーやイベントを活用
終活についてのセミナー(勉強会・講習会)は、全国で開催しています。
インターネットで検索するだけでも「終活の資格検定、遺言書の作成講座、エンディングノートの書き方、相続対策・生前贈与の方法」など、さまざまな終活セミナーが見つかります。
終活の資格やエンディングノート、生前整理、遺言書、相続など、自分が気になる終活セミナーをチェックしてみましょう。
また、セカンドライフと終活に特化したイベントも開催されています。
セカンドライフと終活のイベントでは、「終活、葬儀、霊園、生前整理、遺品整理、お金、健康、介護」などに関する相談やサービスを受けることができます。
イベントによっては会員登録や来場・入場料が必要となる場合がありますので、事前に公式サイトをチェック、またはイベントの展示会事務局に電話でお問合せして確認しておきましょう。
終活のセカンドライフ!終活の知識を深めるための資格
自分やご家族のために、終活に関する資格を取得する方もいます。終活の知識を深めたい、終活の知識を自分や誰かのために役立てたいという方は、終活に関する資格を確認しておきましょう。
ここでは、セカンドライフに役立つ、終活に関する資格を解説します。
セカンドライフの終活におすすめ!終活の資格一覧とポイント
終活に関する資格は、基本的に民間資格となっています。
終活に関する国家資格には「弁護士、司法書士、行政書士、税理士」などがありますが、これらの国家資格は終活に特化したものというよりも、お金や法律の専門資格といえます。
終活に関する民間資格には、以下のようなものがあります。
【終活ガイド】・・・一般社団法人終活協議会の認定資格。終活の知識をもつ案内人(ガイド)の資格。検定試験は、東京や川崎など全国で実施。
【終活アドバイザー】・・・終活アドバイザー協会の認定資格。終活の知識をもつアドバイザー(助言者)の資格。ユーキャンの通信講座で受講、検定試験は在宅受験。
【終活カウンセラー】・・・一般社団法人終活カウンセラー協会の認定資格。終活の知識をもつカウンセラー(相談員)の資格。検定試験は全国で実施。
【終活ライフケアプランナー】・・・一般財団法人日本能力開発推進協会の認定資格。終活の知識をもつスペシャリスト(専門家)の資格。キャリカレの通信講座で受講、検定試験は在宅受験。
【相続終活専門士】・・・一般社団法人相続終活専門協会の認定資格。終活と相続の知識をもつ専門家の資格。検定試験は、大阪(※2020年度第一回)。
【終活士】・・・日本終活士協会の認定資格。終活の知識をもつ専門家の資格。養成スクール・Web配信講座で受講、受講後に確認レポート提出すると資格認定。
このように、終活に関する資格はたくさんあります。
ですが、資格認定機関によっては、現在業務があまり稼働していなかったり、資格認定機関そのものがなくなってしまったりすることがあります。
資格取得で身につけた知識やスキルは無駄になりませんが、せっかく取得した資格の価値が失われてしまうことはなるべく避けたいですよね。
終活に関する資格を選ぶときは、人気と需要があり、長く継続している資格認定機関の資格がおすすめです。
終活のセカンドライフで後悔のない人生プランを計画しましょう
この記事では、終活のセカンドライフについて解説しました。いかがでしたでしょうか?
子どもの独立や定年退職などによって迎える「セカンドライフ」では、第二の人生をきっかけに終活を始める方も少なくありません。
終活でやるべきことは多くありますので、できるだけ早い時期から終活に取り組むことが、後悔のない人生プランを実現するためのポイントになります。
セカンドライフの終活には、たくさんのメリットがあります。自分や大切なご家族のために、セカンドライフを利用して終活を始めてみてはいかがでしょうか?