家族葬という葬儀が世の中に出始めてから、もう20年ほどが経過しましましたが、家族葬という言葉が出る以前は『お通夜をして葬儀・告別式をして火葬をする』というのが当たり前の時代で、葬儀費用は平均で200万円以上というのも当たり前で、故人を偲びながら葬儀に来てくださった参列者を、おもてなしするという意味合いもありますし、大きなお葬式をすることが一種のステータスのような時代でもありました。

そこで、現代の葬儀とはどのようになっているのか?どういった葬儀をして欲しいのか?などを終活の中で家族に伝えられるように基礎知識を身につけましょう。

葬儀で後悔しないためには費用を最優先しないこと

最近では100,000円~葬儀ができます。といった葬儀社もたくさん増えて、葬儀社同士の価格競争も激しくなっています。

ですが、100,000円~という安価な葬儀価格は、あくまでも葬儀をせずにお別れをして火葬だけをするといったシステムになっていることがほとんどです。

家族に負担をかけたくないという思いから、故人の遺志と家族の思いからも簡易的な葬儀を好む方も増えていますが、家族も葬儀までの準備に忙殺されて冷静な判断ができないこともあり、火葬が終わってから『お通夜と葬儀をして、なぜゆっくりお別れをしてあげなかったのか』と後悔する方がたくさんいるのも事実です。

葬儀とは、大切な人とお別れができる唯一の機会であり、故人に触れる最期の時間でもあります。

終活の中で葬儀の形を決めるときには、独りよがりにならずに必ず家族と相談をするようにしましょう。

費用の負担よりも『葬儀はあれでよかったのか?』と後悔の念を持たせてしまう方が家族にとっては、大きな負担になってしまうのです。

葬儀費用のメインとなる祭壇とは?

葬儀の費用で一番メインとなるのが祭壇です。

なぜ祭壇を使用すると費用が高くなるかというと、祭壇を使用するにはある程度の広い場所が必要になり、祭壇の準備をする人件費やお花代などの諸費用が掛かります。

ですから、祭壇を使用するという事は貸しホール代と人件費、雑費が追加されるという事になるのです。

そのため、通夜と葬儀をせず祭壇を使用しない葬儀は100,000円~という安い費用で済ませることができるのです。

祭壇の種類と平均価格を知ろう

祭壇には主に輿祭壇(こしさいだん)とフラワー祭壇2つの種類があります。

輿祭壇は木製の祭壇で、2段または3段の台の上に輿という屋根の付いた装飾があります。

輿祭壇にも大きさがあり、祭壇が大きいほど装飾が増えて飾るお花も増えるので費用は高くなりますが、祭壇を大きくするかは葬儀の規模によって比例するので無理に大きな祭壇にする必要はありません。

輿祭壇の平均費用は200,000円~で、祭壇は組み立てをしてしまえば通夜と葬儀の両日で使用することができます。

フラワー祭壇は全体をお花で装飾した祭壇で、色も形も自由に決めることが可能です。

通常ですとフラワー祭壇の基本装飾があり祭壇の2段、3段目までお花で装飾をしますが、輿祭壇と同じで祭壇が大きくなればそれだけ費用は高くなりますし、さらにフラワー祭壇は装飾のリクエストをするとそれだけ技術料とお花の種類や量が増えるので、費用は高くなります。

しかし、故人が好きだった風景を模したフラワー祭壇は、本当に美しく芸術的とも言えます。これは、それぞれの価値観になるので費用は大幅に変わりますが、フラワー祭壇はベーシックな祭壇で300,000円~、装飾のリクエストなどをすると小さな祭壇では表現できなくなるのでフラワー祭壇の費用は平均より高額になってしまう可能性があります。

宗教によって変わる祭壇の装飾とは?

葬儀の祭壇を輿祭壇にするのか、フラワー祭壇にするかは基本的には依頼主の家族の希望によりますが、宗教の観点から祭壇の形を自由に選ぶことができない場合もあります。

例えば、創価学会はお樒(おしきみ)といった植物を使用して祭壇を作ります。お樒は猛毒を持つ植物で、昔の土葬の時代にお墓を野犬等に荒らされないように植えたことが始まりとされています。

また、お樒の他に白花祭壇もありお花を飾っても、色の指定が白という決まりがあります。

他にもキリスト教では百合の花は『マリア様のお花』とされており、キリスト教の葬儀では百合が多く使用されます。

仏教では基本的にオールマイティにどの様な花でも受け入れられます。
礼に挙げるとすると、菊や百合、カーネーション、極楽鳥花が多く見られます。

宗教的には問題なくても、菩提寺の僧侶が苦手とする花や華美な装飾を苦手とする僧侶、祭壇は輿祭壇であるべきという考えを持っている僧侶もいますので、自身の宗教や菩提寺はどの祭壇が使用できるのかを確認しましょう。

また、家族が宗教のことを知らない場合は葬儀準備の際にトラブルの元になる可能性があるので、信仰している宗教の習わしはしっかりと引き継いでおきましょう。

祭壇を飾る供花や供物、灯籠について知ろう

祭壇を飾る際に喪主や遺族、親族が祭壇の左右に供花や供物を飾る風習があり、仏教ですと回転灯籠(かいてんとうろう)などの灯り物を飾ります。

回転灯籠は一対を飾るのが一般的なので、喪主または親族の誰かが回転灯籠を飾る役目をします。

遺族、親族からの供花や供物は喪主が取りまとめて葬儀社に依頼をすることがほとんどですが、会社関係や友人知人からもお悔やみとして送られてくることがあります。

葬儀社が一括で外部からの供花、供物の注文を取りまとめてくれる場合は特に問題はありませんが、近くのフラワーショップなどに直接注文をする方もいます。

葬儀の宗派によって生花は受け付けない場合や色の指定、最近ではあまり見なくなりましたが、花輪を注文してしまう方もいます。

ですから会社関係など、伝えられる限りの場所には葬儀社へ注文をするように伝えることをお勧めします。

そうすることで、供花や供物に統一感も出ますし葬儀場に供花や供物の搬入時間が遅れることなく無事に飾ることができます。

また、供花と供物の並び順は祭壇を正面にみて、遺影写真を中心として喪主が一対で供花を出すことが多く、喪主が一番でそのあとは右側、左側、右側と左右交互に供花、供物を並べますので外部から頂いたお供えも含めて、並び順はどのようにするかを事前に考えておくようにしましょう。

また、全ての供花と供物、灯籠には名札が付きますので、葬儀場に飾られて際に、名前の間違いが無いかしっかり確認しましょう。

些細なことと思うかもしれませんが、会社関係の方が参列した時にどの位置にお供えされているか、名前が間違っていないかとても気にする方もいらっしゃいますので、失礼のないようにしましょう。

万が一、供花、供物が全て並び終わった後に左右のバランスが合わないと感じた場合は、葬儀社にもよりますがすぐに追加の注文をすることが出来ますので、可能な限り左右対称で供花、供物は飾るようにしましょう。

葬儀の種類はいくつある?葬儀の定義と種類を知ろう

葬儀の種類については、宗教・宗派別に関して様々な葬儀の形があるという事は分かっていただけたかと思いますが、葬儀には宗教・宗派の前段階で、葬儀の規模を決める必要があります。

家族葬とはどういったことなのか?自身が望む葬儀の形はどの葬儀の規模にあたるのか?など、ここでは葬儀の規模と種類について一緒に確認していきましょう。

通夜・葬儀(告別式)の一般葬とは?

葬儀の中でも一番オーソドックスなお葬式が一般葬と言われる『通夜・葬儀(告別式)』を行う葬儀です。

友人や知人、会社関係やご近所の方にも参列してもらい、日本ならではの仏教的な要素が強いことも特徴の1つで、葬儀といえばこれ!というほど誰もが知っている形の葬儀です。

小規模で身内だけでのお葬式、家族葬・密葬とは?

家族葬は友人や知人には参列してもらい、会社関係などの義理関係での参列はお断りする小規模な葬儀です。

親しい方達だけでのお葬式なので、アットホームで穏やかにお葬式をすることができます。

密葬は完全に家族のみの葬儀になり、後日にお別れ会などをすることもあります。

家族葬も密葬も祭壇や葬儀の規模は関係なく、あくまでも誰が参列するかというのが焦点なので、通夜・葬儀の一般葬でも家族だけでしたら家族葬になります。

お別れ会の意識が強い一日葬とは?

通夜を行わず、葬儀(告別式)のみを一日で済ましてしまう葬儀です。
仏教色が強い葬儀というよりはお別れ会といった印象が強く日程が1日で済むので、家族の負担が軽いのも特徴です。

一番簡素で安価な葬儀、火葬式・直葬とは?

葬儀といった儀式やお別れ会を一切せずに、ご遺体が安置されている場所から火葬場へ直接向かい火葬をします。

僧侶を呼んでお経をいただくことも出来ますし、宗教色も一切取り除いて、家族だけで全てを済ますことも可能で、時間も費用も最小限に抑えることができ、100,000円で葬儀ができるといったものは、この火葬式・直葬を指していることがほとんどです。

宗教観にとらわれない、無宗教・自由葬とは?

最近になって特に増えているのが、無宗教葬儀、自由葬です。
無宗教葬儀は、宗教者を呼ばずに身内や友人、知人と故人にお別れをする葬儀です。

自由葬は無宗教葬に+αとして、音楽奏者を呼び演奏してもらう、生前に作成した映像を式場に流してもらうなどをする、自己演出ができる葬儀といったイメージです。

仏教の葬儀の中でも時間を設けることが出来れば、最近では葬儀の中にピアノの生演奏などの献奏を組み込むことができるので、葬儀社の方と相談すると良いでしょう。

葬儀の主催によって変化する社葬・個人葬・合同葬とは?

葬儀の規模の中でも一番規模が大きい葬儀になります。

社葬は、会社の会長や社長、重役が亡くなった時や会社の職員が殉職した時などに、会社が主体となって行う葬儀です。
主導権は会社にあるので、遺族は個人とのお別れに集中できる反面、常に会社の方たちと打ち合わせをするので、大変な面もあります。

社葬と同じように会社と一緒に葬儀を進行していくスタイルでも、社葬を会社が中心ではなく、遺族がメインで行う葬儀を個人葬と言い、会社と遺族が共同で行う葬儀を合同葬と言います。

思い出の場所での葬儀、自宅葬・集会場葬とは?

長期間の入院生活や、施設の入居中に亡くなられた方は、自宅での葬儀を希望する方が増えてあり、最期は自宅でゆっくりしたいという思いが強い傾向にあります。

自宅で葬儀をすることは、自宅にスペースが必要なので大掃除をし、自宅に祭壇を組むために葬儀社やお寺の協力が必要になりますが、何よりも参列者の人数などによってはご近所にご迷惑をかける可能性があるので、自宅で葬儀をする場合は十分に周囲に配慮する必要があります。

また、立地条件や住宅事情により、自宅での葬儀が難しい場合は、自治会の集会所などで葬儀ができる場合もあります。

集会所での葬儀では葬儀社やお寺だけではなく、自治会にも協力を得ながら準備を進めていく必要がありますので、終活の中で自宅葬や集会所での葬儀を考えている方は、事前に周囲に相談し準備を進めておくことをお勧めします。

各種自治体に依頼する市民葬、自治体葬とは?

市民葬や区民葬、自治体葬というのは、各種自治体が提供している簡素的で低価格な葬儀を指します。

市民葬とはいいますが、市区町村や自治体から補助金などが出るわけではないので、葬儀社にお願いをするよりも安くなるか?と言ったら必ず安くなるわけではありません。

各種自治体が公営火葬場を使用して葬儀をする場合もあれば、葬儀社に託をして葬儀をする場合もあります。

ひと昔前までは、葬儀は大きく立派にという時代でしたので、明らかに市民葬が安い場合もありましたが、最近の葬儀社もパック料金などの様々な料金体系があるので、条件によっては企業である葬儀社の方が安く済む場合もありますので、見積もりの比較検討をすることをお勧めします。

年々増えている福祉・生活保護の葬儀とは?

生活保護を受給している方が亡くなり、喪主も葬儀費用を捻出することが出来ない場合は、生活保護法に基づき市区町村から葬儀費用の扶助を受ける事ができますが、基本的に扶助されるのは死亡診断書、検案書、搬送代金、火葬または埋葬、納骨までになるので、一般的な葬儀をすることはできず、直葬の後、合祀墓に納骨されることになります。

市区町村によっては生活保護の受給状況や喪主の生活状況から、一部のみの葬儀扶助の場合もあれば、費用全額扶助の場合もありますので、生活保護の受給者が必ず葬儀費用が全額扶助になるわけではないので注意をしましょう。

また、孤独死などで身内が見つからない場合も、福祉葬となり市区町村、自治体で納骨まで手続きをしてくれますが、生活保護葬も福祉葬も合祀墓に入ってしまうと遺骨の取り出しはできませんので、親族など連絡先がある方は、エンディングノートや終活ノートに連絡先を記載しておくと良いでしょう。

少しずつ増えつつある生前葬とは?

生前葬とは、自身が生きている間に葬儀をすること、お別れ会を開催することです。

芸能人でも、アントニオ猪木さんや水の江滝子さんなどが生前葬をしています。

生前葬をする理由は様々で、元気なうちに友人や仲間に合っておきたい。

自分の思い通りの葬儀をしたい。という事から生前葬をする方もいれば、ガンなどの病気で余命宣告を受けている方を追悼するのではなく、今を楽しく過ごしてもらいたい。

悲しむのは本当に最期だけにしようと、人生の最期を前向きに捉えた生前葬が行われています。

生前葬は堅苦しくない、パーティー形式でホテルなどの施設を利用することが多く、招待状が送られることからも、結婚式のようなイメージが分かりやすいでしょうか?

そして本当に亡くなった際には家族や近親者のみで密葬をすることが多いのも特徴の1つです。

生前葬の一番大きな特徴は、葬儀の主催者は自分であり葬儀の内容も自己プロデュースできるという事ですが、生前葬は一般的にまだ認識が少ないのも事実で、芸能人や著名人がマスコミを通じて生前葬を発表するのと、一般人が生前葬をするのでは大きな差があり、一般的に生前葬をするには事前準備が大変重要になります。

まずは、周囲の人達を驚かせないように十分に配慮し、事前に連絡を取り合う事、招待状を送付する際には服装や香典のことなど招待された人達が困らないように、当日の具体的なスケジュールを招待状に入れ込んでいくと良いでしょう。

葬儀の意義とは?家族とのお別れを一番に考える

葬儀をすることで一番重要なのは、故人の冥福を祈ること、そして何よりも残された遺族や親族、友人達が心残りのないお別れができるという事です。

宗教色が強い葬儀も、無宗教の葬儀も全ては故人の為、そして遺族の為に1つの区切りをつける意味もあります。

その中で祭壇を飾ること、故人の為にしてあげたいこと、逆に故人が家族にしてもらいたいことを最期に形にできるのが葬儀なのです。

理想の葬儀像がある方は、ぜひエンディングノートや終活ノートに記録して、家族に遺志を伝えてください。

そして家族の方達は可能な限り、故人の遺志を叶えてあげてください。

最期にお互いが後悔しないこと。これが葬儀をする最大の意義なのです。