終活をしたいけれど、何から手をつければよいのかわからない・・・そんなときは、遺影写真を準備してみてはいかがでしょうか?
遺影とは「葬儀の際に祭壇に飾る写真のこと」であり、亡くなった方のイメージを最後に強く印象づける大切な写真になります。
そして、近年は終活の広まりとともに、生前のうちから、自分がお気に入りの「遺影写真」を準備する方が増えています。
遺影は葬儀だけでなく、仏壇にも飾る写真になりますので、自分と家族のためにも満足できる素敵な遺影写真を用意しましょう。
ここでは、終活における遺影写真の特徴とメリット、遺影写真を準備するときのポイント、遺影写真の撮影方法、遺影写真の費用・料金を解説します。
目次
終活の遺影写真とは?将来のために生前遺影を
近年は、終活の一環として、生前に遺影写真を準備する人が増えています。
生きているときに遺影写真を準備するなんて縁起でもない・・・と思われる人もいるかもしれませんが、終活で遺影写真を用意することには、多くのメリットがあります。
終活をスムーズに進めるためにも、遺影写真(生前遺影)の特徴やメリットを確認しましょう。
ここでは最初に、終活における遺影写真の基礎知識を解説します。
終活/遺影写真の特徴!お気に入りのフォトで最後のお別れを
「遺影」とは、葬儀のときに祭壇に飾る写真のことです。
遺影の習慣は江戸時代に始まったとされており、現在でも、葬儀の際には遺影を設置することが一般的になっています。
遺影は葬儀だけでなく、仏壇などにも飾る写真になります。ご家庭によっては、先祖代々の遺影を仏間に飾られているところもありますよね。
そして、遺影というと、無表情で喪服姿の人物写真をイメージする方も多いと思いますが、近年はカラー写真の普及などによって、笑顔やラフな服装の遺影写真も増えています。
たとえば、優しい人は「柔和」な写真、明るい人は「笑顔」の写真、厳格な人は「クール」な写真など、その人の印象にあった遺影を選ぶ方が増えています。
一昔前は、故人が亡くなったあとに家族が遺影用の写真を選び、葬儀社などに写真の加工を依頼して、遺影を作成することが一般的でした。
ですが、家族が遺影を用意すると、故人のイメージにあわない写真が選ばれたり、画像のピンボケや劣化などによって違和感のある写真に仕上がったりする、といった問題がありました。
その点、終活で遺影写真を準備していれば、自分好みの写真を選ぶことができるだけでなく、遺影にふさわしい写真を用意することができます。
素敵な遺影写真で、みんなと最後のお別れがしたい・・・そんな気持ちから、終活の遺影写真を準備する方が増えています。
終活における遺影写真のメリット!自分だけでなく家族のためにも
終活で遺影写真を準備することには、以下のようなメリットがあります。
1. 家族の負担を減らせる
2. 本人が満足する遺影写真が展示できる
3. キレイな遺影写真が用意できる
《遺影写真のメリット1》家族の負担を減らせる
故人が亡くなったあとに、家族が遺影写真を用意すると大きな負担がかかります。
故人の死後、家族は葬儀の準備などで忙しい中、遺影用の写真を探して、葬儀社などに遺影写真にするための写真加工を依頼しなければなりません。
そして、遺影用の写真はどんなものでもよいわけではなく、故人が正面を向いているもの、故人のサイズが小さすぎないもの、故人が他人やモノと重なっていないもの・・・など、遺影にふさわしい写真にはさまざまな条件があります。
大切な人が亡くなった精神状態で、葬儀の準備を進めながら、ふさわしい遺影写真を用意しなければならないことは、家族にとって大きな負担になります。
ですが、故人が生きているうちに自分で遺影写真を準備していれば、家族は安心してスムーズに遺影写真を用意することができます。
このように、終活の一環として遺影写真を用意していれば、自分がお気に入りの写真(姿)でみんなとお別れできるだけでなく、残された家族の負担を減らすこともできます。
《遺影写真のメリット2》本人が満足する遺影写真が展示できる
故人の死後、家族が遺影写真を選んでしまうと、故人が望まない写真を使われたり、ほかの親族や友人たちが故人に抱くイメージとは異なった写真を展示されたりする可能性があります。
明るくおだやかなイメージの人なのに、実際に使用された遺影写真では、暗そうなイメージの人だった・・・ということも起こりかねません。
遺影は、その人の最後の姿として強く印象づける大切な写真になります。
終活の一環として、生前のうちに遺影写真を準備していれば、葬儀のときに、自分が理想とする姿でみんなと最後のお別れをすることができます。
「素敵な遺影写真だね」「あの人らしい遺影写真だね」・・・といった感想を、親族や友人、会社関係の人からもらえるように、素敵な遺影写真を準備しておきましょう。
《遺影写真のメリット3》キレイな遺影写真が用意できる
遺影用の写真を用意していない場合、写真加工後の、遺影写真の仕上がりが悪くなる可能性があります。
近年は写真の加工技術が発達していますが、写真の元画像が荒かったり、画素数が低かったりすると、写真を拡大・縮小したときにギザギザ感やぼやけた感じになります。
また、遺影用としてあまりふさわしくない写真は、無理やり加工・修正すると、違和感のある写真に仕上がってしまうこともあります。
終活で遺影用の写真を準備していれば、写真の加工がしやすくなり、キレイな遺影写真に仕上げることができます。
遺影用の写真は、スナップ写真から選ぶこともできますが、よりキレイな遺影写真を作成するためにも、遺影専用の写真を撮影して用意しておきましょう。
終活の遺影写真はいつまでに用意する?目安は「お通夜」までに
一般的に、故人が亡くなった日の夜は「仮通夜」、翌日の夜は「お通夜」、その翌日に「葬儀・告別式」がおこなわれます。
遺影写真は「お通夜」に必要となりますので、それまでに用意しましょう。
遺影写真の準備期間は、加工の有無によって変わります。遺影写真の準備期間については、依頼する葬儀社などに事前に問い合わせて確認しておきましょう。
終活の遺影写真がない場合の対処法!写真付きの身分証を活用
遺影にふわさしい写真がないときは、「写真付きの身分証」を利用しましょう。
免許証、運転経歴証明書、パスポート、個人番号カードなどに貼付されている写真を加工して、遺影写真にすることができます。
写真付きの身分証がないときは、故人の知り合いをたずねて、遺影用に使える写真がないか探してみましょう。
また、現在は動画の一部を静止画として切り取って、写真を作成することもできます。写真だけでなく、故人が登場しているムービーも探してみましょう。
終活における遺影写真の額縁の色は?昔は黒、今はカラーも◎
遺影写真の額縁(遺影額)というと、黒色をイメージする方も多いのではないでしょうか?
昔は遺影写真がモノクロだったので、黒色の遺影額が一般的でした。ですが、近年は遺影写真がカラーになったことで、選ばれる遺影額の色も多様化しています。
遺影額の色選びでは、黒が6割、カラーが4割となっています。
このように、現在は黒だけでなく、さまざまな色の遺影額を選ぶことができます。
好きな色、パーソナルカラー、遺影写真にふさわしい色味などを基準にして、お気に入りの遺影額を選びましょう。
終活で遺影写真を準備するときの7つのポイント
終活で遺影写真を準備するときには、いくつかのポイントがあります。
遺影写真を用意する前に、遺影写真を準備するときのポイントや選び方などを確認しましょう。
遺影写真のポイントは、以下の7つです。
1. いつの写真を使うか
2. 遺影写真の服装
3. 遺影写真のサイズ
4. 遺影写真の表情
5. 遺影写真のメイク
6. 遺影写真の背景
7. 遺影写真の選び方
ここでは、終活で遺影写真を準備するときのポイントを解説します。
《終活における遺影写真のポイント1》いつの写真を使うか
遺影用の写真は、いつ撮影したものでも問題ありません。特にルールはありませんので、自分と家族がお気に入りの写真を選ぶとよいでしょう。
ただし、故人との年齢があまりにもかけ離れていて、本人だとわからないほど若い頃の写真は避けたほうが無難です。
一般的に、遺影写真は5~10年以内に撮影したものがよいとされています。
ですが、長い闘病生活などで、5~10年以内の写真を用意できないこともあります。
体が不自由な場合、出張で遺影写真を撮影してくれる業者もありますが、なるべくなら、自分が動けてまだ元気なうちに遺影用の写真を撮っておくと安心です。
故人だとわかる写真であれば、どの時期に撮影したものでも問題ありませんので、自分と家族が気に入った写真を選びましょう。
《終活における遺影写真のポイント2》遺影写真の服装
一昔前は、遺影写真というと「喪服」が一般的でしたが、最近は自分の好きな服装で遺影写真を撮る方も増えています。
リラックスできる服装やお気に入りの衣装など、その人らしい姿で遺影写真を撮影しましょう。
特にこだわりがない場合は、フォーマルなスーツもおすすめです。
また、写真の加工によって、普通の服装を喪服に「着せ替え」することも可能です。写真を加工する場合は、フォトスタジオや葬儀社などに相談してみましょう。
このように、遺影写真の服装は自由に選ぶことができます。
ただし、眼鏡や帽子、ネックレスなどはNGとしている業者もありますので、遺影写真を作成するときは注意しましょう。
《終活における遺影写真のポイント3》遺影写真のサイズ
遺影写真のサイズは、使用目的によって異なります。
葬儀の祭壇に飾るための遺影写真は、四つ切サイズ(254mm×305mm)やA4サイズ(210mm×297mm)が一般的です。
そして、焼香台や仏壇に飾るための遺影写真は、はがきサイズやキャビネットサイズが一般的です。
葬儀の祭壇に飾るための遺影写真は、参列者が見えやすいように大きなサイズとなっています。そのため、葬儀用の遺影写真は元画像(写真)を拡大して作成します。
元画像が小さすぎたり、画質があらかったりする場合は、葬儀用の遺影写真がぼやけてしまう原因になるので注意しましょう。
遺影写真は拡大・縮小して作成することを前提に、なるべく高画質の写真を準備しておくと安心です。
《終活における遺影写真のポイント4》遺影写真の表情
昔は「無表情」の遺影が一般的でしたが、最近は、その人らしさがうかがえる表情の遺影を選ばれる方が増えています。
優しい、おだやか、面白い、誠実・・・といった故人のイメージにふさわしい遺影であれば、家族や参列者も親しみを込めて故人を偲ぶことができるでしょう。
遺影は葬儀のときだけでなく、仏壇などにも飾る写真になります。
遺影を見る人にとって、故人との思い出がよみがえるような、その人らしい素敵な写真を用意しましょう。
《終活における遺影写真のポイント5》遺影写真のメイク
遺影用の写真を撮影するときは、素顔よりも、メイクをしたほうが表情が明るくみえます。
特に女性は、すっぴんではなく、自然体のナチュラルメイクを意識しましょう。
あまりにも濃いメイクをしてしまうと、故人のイメージが崩れたり、違和感を覚えたりする原因になりますので、遺影写真のメイクは自然なものがおすすめです。
遺影写真のメイクは、専門家に依頼することもできます。
フォトスタジオや葬儀社などでは、遺影撮影とヘアメイクがセットになっているプランがあります。よりキレイな遺影写真を残したいという方は、専門家に依頼して、プロのヘアメイクを施してもらいましょう。
《終活における遺影写真のポイント6》遺影写真の背景
遺影写真の背景は、そのまま使う場合と加工する場合があります。
特に違和感のない背景では、その人らしさを表現するためにも、写真を加工しないまま遺影として使用することがあります。
一方で、背景に違和感があったり、問題があったりする場合は、写真を加工して遺影の背景をあらたに作成します。
遺影写真の背景を加工する場合は、日本人に合いやすい無地一色のブルー系がよく選ばれます。
ですが、淡いオレンジやイエロー、ピンクなどの背景を選ばれる方もいますので、自分や家族の好みにあわせて、遺影写真の背景を選びましょう。
《終活における遺影写真のポイント7》遺影写真の選び方
遺影写真を選ぶときは、いくつかのポイントがあります。
1つ目のポイントは、故人の姿がはっきりとしている写真を選ぶことです。
故人の姿がぼやけていたり、小さすぎたりする写真では、キレイな遺影写真を作成することができません。
葬儀の祭壇に飾られる遺影は、元画像(写真)を拡大して作成するので、不鮮明な写真や小さい写真を使用すると、遺影写真がキレイに仕上がらない可能性があります。
遺影写真を選ぶときは、人物の姿がはっきりとしていて、人物のサイズが10円玉以上の大きさで確認できる写真を選びましょう。
2つ目のポイントは、自分だけでなく、家族も気に入った写真を選ぶことです。
遺影は、葬儀のときだけでなく、仏壇に飾るものとしても利用されます。
家族が気に入らない遺影写真を選んでしまうと、故人を偲びにくくなったり、故人のイメージが悪くなったりしてしまう可能性があります。
素敵な姿の遺影は、残された家族にとって「大切な形見」にもなりますので、自分だけでなく、家族の意見も取り入れて遺影写真を選ぶようにしましょう。
終活における遺影写真の撮影方法!自撮りv.s写真館等
将来のために、終活で遺影写真を準備することはとても大切です。
遺影が必要になったときに、家族の負担を減らすためにも、自分がお気に入りの遺影写真を準備しておきましょう。
遺影写真の撮影方法は、主に2種類あります。それぞれ特徴が異なりますので、ご自身にふさわしい撮影方法を選びましょう。
ここでは、終活における遺影写真の撮影方法を2つ解説します。
《終活/遺影写真の撮影方法1》自分で撮影する「自撮り」
最近は、自分の遺影写真を「自撮り」する方が増えています。
デジタルカメラやスマートフォンなどを使って、自分好みの写真を何枚も撮影できることは「自撮り」の大きな魅力といえます。
また、遺影写真の自撮りには、撮影や印刷・プリントにかかる費用を安くおさえられるというメリットもあります。やり方次第では、ほぼ無料で遺影写真を撮影することも可能です。
「家族や友人と一緒のときに撮影した、自然な笑顔の写真がいい」「お気に入りの場所を背景にした写真がいい」「あまりお金をかけずに遺影写真を撮影したい」・・・という方は、遺影写真の自撮りを検討してみましょう。
遺影写真を自撮りするときのポイントは、撮影機種(デジタルカメラ等)の「画素数」です。一般的に、画素数が多いほど画質は良くなります。
遺影用の写真を撮影する場合は、200万画素以上のスペックをもつ機種を選びましょう。
最近のデジタルカメラやスマートフォンは200万画素以上の機種が一般的ですが、古い機種では200万画素に満たないものもあります。
また、スマートフォンやカメラ付き携帯などの場合、背面カメラ(メインカメラ)と前面カメラ(インカメラ)では画素数が異なることがあります。
背面カメラは800万画素あっても、自撮り用の前面カメラは120万画素しかない・・・という機種もありますので、遺影写真を自撮りするときは撮影機種の「画素数」に注意しましょう。
《終活/遺影写真の撮影方法2》フォトスタジオなどで撮影する
終活の遺影写真は、フォトスタジオ(写真館)や葬儀社などで撮影してもらうこともできます。
近年、遺影写真をフォトスタジオなどで撮影する方が増えており、遺影撮影専門の写真館も誕生しています。
フォトスタジオなどで遺影写真を依頼すると、それなりの撮影料金が発生しますが、プロのカメラマンによって、クオリティの高い遺影写真を撮ってもらうことができます。
また、お店によってはヘアメイクや貸衣装がセットになっている撮影プランもあり、さまざまなニーズに対応できるようになっています。
最近はデジタルカメラやスマートフォンも高性能になり、キレイな写真を撮れるようになりましたが、よりクオリティの高い写真に仕上げるためには、撮影テクニックが必要になります。
プロによる高品質の遺影写真を用意したい方、モデル気分で楽しく遺影写真を撮りたい方、自撮りが苦手な方・・・などは、フォトスタジオや葬儀社に依頼してみてはいかがでしょうか。
終活における遺影写真の費用・料金はいくら?
遺影写真をフォトスタジオや葬儀社などで撮影する場合は、費用がかかります。
遺影写真の料金は、撮影プランやお店によって異なりますので、いくつかのフォトスタジオや葬儀社などを事前に比較・調査しておきましょう。
ここでは、終活における遺影写真の費用・料金を説明します。
終活の遺影写真にオススメ!フォトスタジオ等の撮影プランと料金
遺影写真(生前遺影)の撮影プランと料金は、お店によって異なります。
たとえば、生前遺影の基本プラン(撮影+データ+写真等)の場合は、5,000~20,000円ほどの料金となっています。
そして、生前遺影の上位プラン(基本プラン+ヘアメイク+衣装レンタル等)の場合は、10,000~40,000円ほどの料金となっています。
ご自身の希望と予算にあわせて、最適な撮影プランを選びましょう。
終活の遺影写真はすでに決定!遺影加工サービス業者のおすすめ
お気に入りのスナップ写真を遺影写真に使用したい場合は、「遺影加工サービス業者」に依頼することもおすすめです。
遺影加工サービス業者では、写真の修整・着せ替え・背景変更などの加工をして、遺影写真を作成してもらうことができます。
遺影加工の料金はお店によって異なりますが、一般的には6,000円くらいから依頼が可能です。また、遺影加工サービス業者によっては、2,000円ほどで利用できるところもあります。
フォトスタジオなどのように写真撮影をするわけではありませんが、すでにお気に入りの写真があって、その写真を遺影に使用したい場合は、遺影加工サービス業者の利用を検討してみましょう。
終活の第一歩!素敵な遺影写真を用意しましょう
この記事では、終活の遺影写真について解説しました。いかがでしたでしょうか?
近年は終活の広まりとともに、生前から自分の遺影写真を用意する「生前遺影」を作成する方が増えています。
自分好みの素敵な遺影写真を用意できる、家族の負担を減らすことができる、といったことは、生前遺影の大きなメリットです。
遺影はいつ必要になるのか、誰にもわかりません。
いざというときのために、終活の一環として、素敵な遺影写真を準備してみてはいかがでしょうか?