年齢を重ねるにつれて、「終活」に興味を持たれる方は増えています。

特に70代の方は、親の介護や看取りを経験してきたことで、「人生の終焉」をより身近に感じている人も少なくないのではないでしょうか?

そして、自分に何かあったとき、家族に迷惑をかけないためにも、70代から終活を始めたいという方はたくさんいます。

一般的に、終活は60代からというイメージがありますが、70代から終活を始めてもまだ遅くはありません。

将来にそなえて、70代からの終活について一緒に考えてみましょう。

ここでは、終活の基礎知識、終活70代の特徴、終活70代でやること、親が70代の終活サポートについて解説します。

終活は誰のために?70代から未来のためにできること

「人生100年時代」といわれる現代では、70代になっても、まだまだ元気な方はたくさんいらっしゃいます。

70代になっても現役で働いている方や、地域のボランティア活動をしている方、趣味のサークルに参加している方、孫やひ孫の面倒をみている方・・・など、70代を元気に過ごしている方は少なくありません。

ですが、どんなに元気な方でも、70代になると以前よりも肉体の衰えを感じるようになります。

近年は、医療技術の進歩などによって世界的な長寿化が進み、日本人の平均寿命や健康寿命も年々増加していますが、高齢になるほど「病気」や「怪我」のリスクが高くなります。

「人生100年時代」といわれる現代になっても、人の寿命や運命は誰にもわかりません。

もしものときにそなえて、まだ元気に動ける70代のときから、終活について一緒に考えてみましょう。70代から終活を始めることで、将来の不安を解消できるだけでなく、自分と家族をより幸せにすることが可能になります。

「終活」に暗いイメージを持つ方もいますが、「終活」はよりよい未来を実現するための明るく前向きな活動です。

70代から終活を始めてもまだ遅くはありませんので、自分と家族のためにも、終活に取り組んでみましょう。

ここでは最初に、終活の基礎知識を解説します。

終活の特徴と意義をおさらい。70代から将来のために準備する

そもそも「終活」とは何でしょうか?

終活とは「自分が理想とする最期(人生の終わり)を迎えるための準備活動」です。

このように、「人生の終わり」・・・と聞くと、暗いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、終活の目的は「よりよい未来を実現すること」にあります。

終活をしないで年齢を重ねていくと、将来、自分が寝たきりになったり、亡くなったりしたときに、大切な家族に迷惑をかけてしまう可能性が高くなります。

また、「介護、医療、葬儀、お墓、遺産など」について準備していないと、自分が理想とする老後や最期を迎えられなかったり、家族間でトラブルが起きたりする原因にもつながります。

終活は、将来の解消するための活動です。

自分と家族のためにも、なるべく早めに終活について考えてみましょう。

終活の認知度は?50代・60代・70代と高齢になるほど興味アリ

「終活」という言葉は2009年に誕生以来、テレビや新聞、雑誌など多くのメディアに取り上げられてきました。「終活」は2010年の流行語大賞にノミネートされおり、2012年には流行語大賞トップ10にも選ばれています。

そして現在、終活は世間に広く知れ渡り、身近な活動として認識されています。

終活に関するネット調査では、終活という言葉の認知率が9割以上、終活に興味のある人が4割近くという結果になっています。(※2018年楽天インサイト株式会社「終活に関する調査」参考)

そして、50代・60代以上の年代では、終活への関心がさらに高くなり、年齢を重ねるほど終活に興味のある人が増えているという結果が出ています。(※地方経済総合研究所「終活に関する意識調査」参考)

ただし、50・60代以上で実際に終活をおこなっている割合は0.5割ほどであり、7割近くの方は「いずれおこないたい」と考えている段階のようです。

終活のタイミングはいつ?70代から始める方も珍しくありません

終活は何才からでも始められますが、一般的には、定年退職を迎えた60代の方が終活に取り組まれることが多いようです。

一昔前は、60歳で還暦・定年退職を迎えて隠居生活に入る・・・ということが一般的でした。ですが現在は、厚生年金の支給開始年齢が65歳になったことをきっかけに、定年年齢の引き上げや再雇用などによって、60歳を過ぎても現役の方が増えています。

そして、終活に関するネットの調査では、終活を始めたい年齢は65~69歳からが最も多く、次いで60~64歳、3番目に70~74歳となっています。

また、60代で終活を始めたいと考えている方は4割を超えており、70代では2~3割の方が実際に終活をおこなっているという調査結果が出ています。

このように、終活に対する考え方は人それぞれであり、終活をおこなうタイミングにも個人差があります。

70代から終活を始めても決して遅くはありませんので、心身がまだ元気なうちに終活を始めてみましょう。

終活70代について。特徴とメリットをチェック!

70代をきっかけに、終活を始めてみようと考える方は少なくありません。

今後の終活をよりスムーズに進めるためにも、70代における終活の特徴を確認しておきましょう。

ここでは、終活70代の特徴とメリットを解説します。

終活70代の特徴と理由。「家族に迷惑をかけたくない」が最多!

終活に関するネット調査では、70~74歳で終活を始めたい人が2割近く、実際に70代以上で終活をおこなっている人は2~3割という結果になっています。

特に女性は終活への関心が高く、70代以上の女性で終活をしている人は3割以上となっています。

また、終活をおこなう理由としては、「家族に迷惑をかけたくない」「病気や介護のときにそなえるため」「自分の希望を家族に伝えるため」「今までの人生を整理するため」「最後まで自分らしく生きるため」「今後の人生を考えるため」・・・などがあります。

特に、終活をおこなう理由として「家族に迷惑をかけたくない」という人が最も多く、自分よりも家族のために終活をしたい方がたくさんいる、という結果になっています。

終活70代のメリットとは?今後の人生をより豊かにするために

終活には、多くのメリットがあります。

たとえば、終活の1つ目のメリットとして、自分や家族の未来にそなえられることが挙げられます。

自分の身に何か起きたときでも、終活をして事前に準備していれば、家族の負担を減らすことができます。

特に、70代の方で配偶者がいる場合は、自分だけでなく、伴侶(夫・妻)の老後と最期についても考えなければなりません。自分の行く末だけでなく、身近な家族の未来についても準備できる・・・それが終活のメリットの1つになります。

終活の2つ目のメリットは、まだ元気なうちに行動できるということです。

終活では、生前整理(身辺整理)、財産整理、葬儀やお墓の準備など、やるべきことがたくさんあります。そして、これらの終活をスムーズに進めるためには、ある程度の「気力・体力・判断力」が必要になります。

70代にはまだ元気な方もたくさんいますので、心身ともに余力のある70代のうちから終活を始められることはメリットの1つといえます。

終活の3つ目のメリットは、今後の人生をよりよいものにできるということです。

終活をとおして自分自身と向き合い、今までの人生を振り返ると、さまざまなことに気がつくことでしょう。

人生でやり残したこと、まだ叶えていない夢、家族や親しい友人への思いなど、今まで気づかなかったことを、終活によって再認識できる可能性があります。

そして、今後やりたいことや大切な人への想いなどに気がつくと、より前向きに、明るい気持ちで暮らせるようになります。終活で得たことを今後の人生に活かせるということも、70代から終活をおこなうメリットの1つといえます。

終活70代でやること!後悔しないための活動とは

終活は、年代別でおこなうことが多少変わります。70代の終活に必要なことを確認して、後悔しないように終活を始めましょう。

70代におすすめの終活内容は、以下のとおりです。

1. エンディングノートの作成と見直しをする
2. 生前整理(物・人・心の断捨離)をする
3. 葬儀・お墓の準備をする
4. 自動車運転免許の自主返納を検討する

ここでは、70代の終活でおこなうことを4つ解説します。

【終活70代でやること1】エンディングノートの作成と見直しをする

エンディングノートとは「自分の希望や思いを家族に伝えるためのノート」です。

介護、医療、葬儀、お墓、遺品、遺産などについて自分の希望がある場合は、その旨をエンディングノートに記載しておきましょう。

自分に何かあっても、エンディングノートがあれば、家族がエンディングノートを参考にして物事を判断することができます。

エンディングノートを作成したあとは、定期的にエンディングノートを見直して、現在の自分にふわさしい内容に変更・修正・追加するようにしましょう。

70代のエンディングノートには、以下の項目を書いておくと安心です。

《エンディングノートの項目1》介護の希望と費用などについて

自分が望む介護の内容について、なるべく詳細に書きます。

介護の場所(在宅または施設)や、介護をお願いしたい人、介護の費用などについて具体的に決めて、エンディングノートに書きましょう。

また、自分が認知症などで意思疎通ができなくなったときの対応(介護施設に入居希望等)についても、エンディングノートに記載しておくと安心です。

《エンディングノートの項目2》終末期医療や臓器提供などについて

どのような方法でも回復の見込みがなく、余命数ヶ月と判断される時期を「終末期」といいます。

終末期医療(延命措置)の考え方は、人によって異なります。

自分が終末期を迎えたときに、どこまで延命措置を希望するのか・・・などをエンディングノートに書いておきましょう。

家族は少しでも長く生きてほしいと願うかもしれませんが、場合によっては、過剰な延命措置を打ち切ったほうが本人にとって幸せなこともあります。

終末期医療の方針は、本人と家族の意思が重要になります。終末期に自分が意思疎通できなくなる可能性も考えて、終末期医療(延命措置)についての要望をエンディングノートに書いておきましょう。

《エンディングノートの項目3》葬儀やお墓などについて

自分が希望する葬儀やお墓を決めて、その旨をエンディングノートに記載しましょう。

すでに葬儀社や霊園などが決まっている場合は、各連絡先や契約書類の有無・保管場所をエンディングノートに書いておくと安心です。

また、自分に何かあったときのために、連絡してほしい人・連絡してほしくない人のリストもエンディングノートに書いておきましょう。

このほかにも、「遺影」の写真について候補がある場合は、遺影写真の保管場所もエンディングノートに記しておきましょう。

昔は「無表情」の遺影が一般的でしたが、近年は「笑顔」の遺影を選ばれる方も増えています。どんな写真(姿)で最後にみんなとお別れしたいのかを考えて、自分が理想とする遺影を選びましょう。

《エンディングノートの項目4》財産・重要書類について

自分に何かあったときにそなえて、すべての財産をエンディングノートに書いておきましょう。

現金、預貯金、保険、有価証券(株や債券など)、土地・不動産、貴金属、骨董品など、すべての財産を把握して、財産リストとしてエンディングノートに記載します。

ローンや借金、連帯保証人の有無といったマイナスの財産についても、忘れずにエンディングノートに書いておきましょう。

そして、いざというときに家族が見つけやすいように、通帳やクレジットカード、保険・不動産などの契約書類の保管場所についても、エンディングノートに記しておくと安心です。

《エンディングノートの項目5》成年後見制度について

将来、自分の判断能力が失われたときにそなえて、「成年後見制度」についても考えておきましょう。

成年後見制度とは、「成人で判断能力が不十分な人を守るための制度」です。

たとえば、あなたが認知症などで判断能力が衰えた場合、成年後見制度によって選ばれた後見人が、財産管理や療養看護などの事務を代理してくれます。

成年後見制度には、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。

【法定後見制度】・・・すでに本人の判断能力が不十分なときに、申し立てによって家庭裁判所が後見人などを選任し、本人の代理として後見人が権利や財産を守る制度
【任意後見制度】・・・まだ判断能力のある本人が「任意後見人」を選任し、将来、本人の判断能力が不十分になったときに、代理として後見人が権利や財産を守る制度

法定後見制度と任意後見制度では、「誰が後見人を選ぶか」という点が大きく異なります。

自分で後見人を選びたい場合は、任意後見制度を利用しましょう。

《エンディングノートの項目6》遺言書の有無と保管場所について

遺産相続などについて遺言書を作成した場合は、遺言書の存在と保管場所をエンディングノートに書いておきましょう。

誰に何をどのくらい相続させたい(または相続させたくない)といった希望は、法的効力を持つ「遺言書」の作成がおすすめです。

自分の死後、遺言書が正しく活用されるように、遺言書の有無と保管場所をエンディングノートに記載しておきましょう。

【終活70代でやること2】生前整理(物・人・心の断捨離)をする

70代の終活では、家族の負担を減らすためにも、生前整理をしましょう。

生前整理とは「生きているうちに身辺整理をすること」です。

故人の死後、残された家族の大きな負担となるのが「遺品整理」になります。

亡くなった方の所持品はすべて「遺品」となり、一般的には、故人の家族が遺品整理をおこないます。

大切な人が亡くなったあとで、大量の遺品を整理・処分しなければならないことは、精神的にも肉体的にも、家族にとって大きな負担となります。

家族の負担を減らすためにも、70代の頃から少しずつ生前整理を始めましょう。

また、生前整理ではモノだけでなく、人間関係やココロの整理も大切になります。

終活をきっかけに人間関係を整理して、心もスッキリさせましょう。

【終活70代でやること3】葬儀・お墓の準備をする

70代の終活では、自分の葬儀とお墓についても準備しましょう。

どのような葬儀を希望するのか、お墓はどうするのか・・・など、70代のうちから具体的に決めておくと安心です。

特に、葬儀やお墓の費用については、事前に調べて資金を用意しておきましょう。

葬儀やお墓は、種類や規模によって費用が大きく異なります。

たとえば、相場価格として、葬儀費用は約200万円、お墓の費用は約70~200万円となっています。

自分が亡くなったあとに、葬儀やお墓のことで家族に迷惑をかけないためにも、事前に葬儀とお墓の準備をしておきましょう。

【終活70代でやること4】自動車運転免許の自主返納を検討する

近年、高齢運転者による交通事故が増加して社会問題となっています。

70代以上になって身体機能が衰えると、動体視力・判断能力・情報処理能力などが低下して、交通事故が起こりやすくなります。

警視庁の資料によると、70歳以降は年齢を重ねるほど「死亡事故率」が増加するという結果になっています。(※警視庁「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」参考)

交通事故のリスクを減らすためにも、免許証の自主返納を検討してみましょう。

免許証を自主返納すると、「運転経歴証明書」の申請・交付が可能になり、運転経歴証明書を利用してさまざまな特典を受けることができます。(※運転経歴証明書の交付には条件有)

特典の内容は自治体によって異なりますが、商品やサービス、宿泊施設、公共の交通機関における料金割引などが一般的です。

親70代の終活をサポート!子どもが親のためにできること

終活に対する考え方には個人差があり、70代でも終活をしない方がいます。

70代になっても終活をしない方は、終活の必要性を感じていない、自分の将来(介護や最期)を考えたくない、終活のタイミングを逃している・・・などの理由が考えられます。

ですが、終活をしないで介護や終末期(余命数ヶ月)、死別を迎えてしまうと、家族に大きな負担がかかってしまう可能性が高くなります。

親が70代になっても終活をしない場合は、40代・50代になる子どもが働きかけて、親の終活をサポートしましょう。

ここでは、親70代の終活サポート方法を解説します。

【終活サポート1】エンディングノートをプレゼントする

親が終活に乗り気でない場合、生前整理や介護、葬儀、財産などについて話題を振っても、話をはぐらかされてしまったり、親の機嫌を損ねてしまったりすることがあります。

そんなときは、エンディングノートをプレゼントしてみてはいかがでしょうか?

エンディングノートは「個人的なメモ書き」のようなものであり、遺言書のような法的効力はありませんが、エンディングノートによって家族が必要な情報を得ることができます。

将来のために生前整理をしてほしい、葬儀やお墓を決めてほしい、介護や財産について準備してほしい・・・などといきなりお願いしても、親御さんが素直に聞き入れてくれるかは不明です。

ですが、エンディングノートなら「個人的なメモ書き」のように書くだけなので、終活へのハードルが低くなります。また、エンディングノートをきかっけにして、ほかの終活についても親と話し合うことが可能になります。

70代である親に終活をお願いしたいときは、エンディングノートのプレゼントを検討してみましょう。

【終活サポート2】親の暮らしをサポートする

70代の親と離れて暮らしている場合、定期的に連絡をとったり、自治体の見守りサービスを利用したりするなどして、親御さんの安否確認をしましょう。

また、火災や火傷のリスクを下げるために、親の住まいをオール電化にすることもおすすめです。

このほかにも、家の中を整理したり、危険な場所は対策したりするなどして、親が怪我をしないようにサポートしましょう。

高齢になるほど、少し転ぶだけでも大きな怪我につながる可能性が高くなります。

70代の親がいる方は、親御さんの身の安全を考えながら、自分にできることで終活をサポートしましょう。

70代の終活は自分と家族のために!悔いのない人生を実現しましょう

この記事では、70代の終活について解説しました。いかがでしたでしょうか?

今は「人生100年時代」といわれており、70代になっても元気な方はたくさんいらっしゃいます。

ですが、70代後半を過ぎると怪我や病気のリスクが高くなり、今まで元気な方でも、急に寝たきりになったり、亡くなったりしてしまうことがあります。

終活は、自分と家族のためにできる将来の準備になりますので、70代の方は前向きな気持ちで終活に取り組んでみましょう。