葬儀 法要セット
皆さんは合祀墓というお墓はご存じでしょうか?
合祀墓とは他の方の遺骨も含めて合同で、寺院や宗教者に故人を供養してもらうためのお墓のことです。
代々引き継がれてきたお墓の遺骨がいっぱいになり、33回忌や50回忌を迎えた遺骨を合祀墓に移すことや、後継者問題などでお墓を建墓することが出来ない方のお墓として合祀墓は存在します。
合祀墓についての活用方法と活用時のポイントを確認していきましょう。

遺骨の終着地である合祀墓を詳しく知ろう

合祀墓と必ずセットになる用語に永代供養という言葉があります。

永代供養は遺族に代わって寺院や宗教者が、故人を供養してくれることを指し、永代供養をするために遺骨を一括に集めて納骨する場所を合祀墓と言います。

ですから、合祀墓は複数の遺骨と一緒に納骨され、遺骨も骨壺ではなく骨壺から遺骨を取り出して直接合祀墓に納骨することになります。

どうしても他の方の遺骨と一緒になりたくない。という方もいますので遺骨を他の方と一緒にしたくないという方のために、ロッカー型などの個人分けされている形の合祀墓もありますので、遺族の希望に沿って合祀墓を決めることができます。

合祀墓を利用する状況とはどういう時?

合祀墓は遺骨の最終着地点と言われ、海洋散骨、里山散骨、残骨処分などをしていなければ、ほぼ必ずと言っていいほど誰もが行き着く場所と言えます。

お墓を所有している場合でも、お墓の納骨スペースは無限ではありませんので、基本の目安として33回忌または50回忌を目安に遺骨はお墓から合祀墓に移動することになります。

後継者がおらずお墓を建墓することができない方は、最初の段階で合祀墓という選択肢をとることができ、万が一お墓参りやお墓の管理が出来なくても、合祀墓は無縁仏ではありませんので、お墓を管理している寺院や宗教者がきちんと供養してくれますので、安心して遺骨を預けることができます。

このように、お墓があるから合祀墓は関係ないという事ではなく、お墓を所有していても最終的には合祀墓に納骨することになるので終活の中で墓地や霊園を見学する際は、合祀墓の建物がどのようになっているのかを確認すると良いでしょう。

合祀墓のメリットとデメリットを比較しよう

お墓を建墓せずに最初から合祀墓に納骨する場合と、お墓を所有している場合のどちら側から見ても、合祀墓にはどのようなメリットとデメリットがあるのか紹介します。

合祀墓のメリット

◇メリット1:永代供養してくれるので、後継者がいなくても安心できる。

近年の少子高齢化によりお墓の後継者問題が多く発生し、お墓を建墓することができない、またはお墓を所有しているが墓地・霊園に管理費用が支払われず、お墓の所有者に連絡が取れない為に、お墓が制撤去されてしまうというケースが増加しています。

お墓が強制撤去された遺骨は合祀ではなく無縁仏として処理されてしまいますので、遺骨はその先供養されることがなくなってしまい、遺骨を取り出すことも出来ませんので、何も知らされることなく先祖代々のお墓が無くなってしまうことにより、親族間で大きなトラブルの原因になります。

現在お墓を所有している方で後継者に不安がある方、建墓する時点で後継者がいない方は合祀墓に納骨することで、故人が無縁仏にならずに寺院や宗教者に永代供養をしてもらえるというメリットがあります。

◇メリット2:合祀墓は費用を安く済ませることができる

お墓にかかるお金のほとんどが、お墓を建墓するための施工代金や墓石にかける費用、お墓の土地を使用するための永代使用料です。

お墓を建墓する費用は平均の最低価格でも80万円かかり、永代使用料だけでも数十万かかりますが、合祀墓は1人当たり10万円~30万円程の費用で済みますので、墓石を建てる費用が丸々不要になるのでお墓を建墓することに比べて、合祀墓で永代供養することは費用を大幅に抑えることができるのです。

既にお墓を所有している方は、永代供養・合祀墓への改葬(移動)がセットになっている場合があり、お墓の契約時に費用を支払っている場合もありますので、事前にお墓の契約内容を確認しておくと良いでしょう。

合祀墓のデメリット

◆デメリット1:合祀墓に納骨された遺骨は取り出すことができない

合祀は骨壺から遺骨を取り出して、他の方と一緒に納骨されてしまいますので合祀墓に入った後は、他の方の遺骨と区別することができないため、遺骨を後から取り出すという事は一切できなくなってしまいます。

ですから、他の親族のお墓に入る可能性がある、分骨をしたいという希望が出てくる可能性がある場合は、すぐに合祀墓に納骨せずに一定期間自宅や納骨堂で遺骨を保管しておくと良いでしょう。

◆デメリット2:合祀墓そのもののイメージが悪い世間的にも合祀墓に対する認識は薄く、合祀墓に対してあまり良くないイメージを持っている方たくさんいます。

お墓を持っていないという事を非常識だと思う方もいれば、合祀墓と無縁仏を同じ事だと思っている方もいて、合祀墓は遺骨を捨てる場所と勘違いしているということです。

ですから、合祀墓を検討する際には遺骨の取り出しができないという点も含めて、まずは合祀墓に対する悪いイメージを払拭してもらうためにも家族、親族と話し合いをし、まずは終活の中で合祀墓について理解をしてもらうことから始めましょう。

デメリットの面からみても、独断で合祀墓に納骨することは家族、親族間のトラブルの元になりますので、十分に注意が必要です。

合祀墓に納骨するまでの遺骨の保管方法とは?

合祀墓に納骨をするデメリットでもご紹介した通り、合祀墓に納骨するには家族、親族の理解と承諾が必要になりますので、家族と親族の理解が得られるまでの間、遺骨はお墓以外の場所で保管をしておく必要があります。

そこで、合祀墓に納骨するまでの一時保管として選択できるのが『納骨堂に一時的な預かりを申し込む』または『自宅で遺骨を保管する』のどちらかになります。

納骨堂に遺骨を一時的な預かりをしてもらうというシステムは、本来の納骨とは目的が違い、納骨堂の専用スペースに短期間だけ遺骨を預かってもらうということです。

通常の納骨(永代供養)との大きな違いは、契約金を払い更新をする必要があり費用は数千円~10,000円程で、基本的には自動更新ではありませんので注意が必要です。

また、納骨堂によっては賃貸契約のように月ごとの契約更新ができる場合があるので、契約の締め日によっては1日過ぎると1ヶ月分の料金が発生してしまうので、費用の下調べはしっかりとし、納骨堂に一時的に遺骨を預けることと、自宅に遺骨を保管しておくこととどちらが自身に合っているのかを考えてみましょう。

納骨堂に遺骨を一時的に預けるメリット

◇メリット1:遺骨を一時預けることで気持ちと時間の余裕ができる葬儀が終わり今後のことを決めなければいけない中で肝心なことは、焦らずに1ずつ解決をしていくことです。

お墓を決めるのには時間も費用も掛かりますので、遺骨を納骨堂に一時的に預けることにより気持ちのゆとりと時間の余裕ができて、家族や親族との話し合いの時間も出来ますし、費用を工面する時間をとることも出来ます。

◇メリット2:お墓に比べて費用が安いこと、遺骨の管理の心配がない

お墓を建墓するには数百万円の費用が必要ですが、納骨堂の遺骨の一時預かりは、1人あたり数千円~10,000円程ですので、お墓を建墓するのか合祀墓にするのかなど検討する時間を買ったと思えば、高額な費用ではありませんし何よりも、専門家が遺骨の管理をしてくれるということが大きなメリットになります。

納骨堂に遺骨を一時的に預けるデメリット

◆デメリット1:預けられる期間が短い事

納骨堂に遺骨を一時的に預ける際には、基本は1年単位の契約になることが多いですが、更新をすれば何十年も預かってもらえるわけではありません。
大体が5年~10年という契約期間が多いので、明らかに5年~10年以上はお墓や合祀墓に納骨することが無い方は、自宅で遺骨を保管することをお勧めします。

◆デメリット2:金銭的な負担と契約更新の負担

当たり前のことですが、自宅で遺骨を保管しておけば費用は掛からないので金銭面での負担はありませんが、納骨堂に遺骨を預けると費用が発生します。

また、基本的に契約の更新は1年単位なので契約更新の度に、納骨堂に足を運ばなければいけませんので、契約更新の手続きが後々になって負担になる可能性が非常に大きいです。

納骨堂に遺骨を一時的に預ける方の実際の状況とは?

納骨堂に遺骨を一時的に預ける方達は、やはり納骨するまでに十分な時間を必要としている方がほとんどです。

例えば、供養する方向性が全く決まっていない、お墓を建墓するか迷っている、親族との話し合いが一向に進まない、居住地が海外のため整理がつくまで遺骨を預けおきたい。など様々な事情があります。

また、気持ちの整理がつかずに誰かと会う気になれない、という方も遺骨を納骨堂に預けておけば、誰でも自由にお参りが出来るのでお参りに来る方のために、わざわざ日程を合わせて自宅に待機するという面倒を省くことができます。

自宅で遺骨を保管するときの注意点とは

火葬が終わり遺骨になった時点で、まだお墓や合祀墓についてどのようにするか決まっていない場合、遺骨は自宅で保管することも可能です。

自宅の庭に遺骨を埋葬するなどは法律違反になりますが、遺骨を自宅に保管することには問題はありませんので、必ず『埋葬許可書』とセットにして遺骨を保管するようにしましょう。
埋葬許可書が無ければ納骨することができませんので注意をしましょう。

また、最近では遺骨を収納できる仏壇も販売されており、子供が1人っ子で後継者問題がある場合などは、自宅に遺骨を数年保管して両親の遺骨が揃ってから合祀墓に納骨するという納骨方法も増えています。

自宅で遺骨を保管することは多少のスペースは必要になりますが納骨堂と違いお金がかかりませんので、費用の面では最適な保管方法であり、気持ちの面でも遺骨をそばに置いておきたいという方にもおすすめです。

とはいえ、日常の生活の中に遺骨を置いておくことになりますので小さいお子様がいる家庭や、ペットを飼っている方は遺骨に触れない様に注意が必要です。

また、遺骨は骨壺を含めると相当な重さがありますので、お掃除の際などに誤って落として割ることが無いように気を付けましょう。

遺骨の保管方法には納骨堂にも自宅保管にも両面のメリットとデメリットがあるので、遺骨を自宅に保管して納骨するのか?納骨堂に一時的に遺骨を預けるのか?を事前に家族、親族と話し合いをして、故人の遺志としてエンディングノートや終活ノートに記録しておくことで、将来的に子供にかかる負担を減らすことができます。