将来のために、50代から終活を始めたいと考えている方もいるのではないでしょうか?
50代の終活には、多くのメリットがあります。
たとえば、老後に向けての準備だけでなく、終活をとおして自分自身と向き合い、今後の目標をみつけて定年後のセカンドライフに活かせる!・・・といったことも、50代から終活を始める大きなメリットといえます。
50代の方は現役世代であり、まだまだ元気な人もたくさんいます。仕事や子育てが落ち着き始めた50代から、終活について考えてみましょう。
ここでは、終活50代の特徴とメリット、やるべきこと、エンディングノートの書き方などを解説します。
目次
そもそも終活とは?50代から将来にそなえる
終活とは「自分の老後・最期(終焉、死)に向けての準備活動」になります。
終活は2009年に誕生以来、さまざまメディアに取り上げられて世間に広まっていきました。そして現在は、高齢者だけでなく、40代・50代の元気な世代でも、終活に取り組む人が増えています。
健康面や経済面による将来の不安は、50代から終活を始めることで軽減できます。
特に50代の方は、親が70才以上の高齢になり、親の老後や最期を身近に感じている方も少なくありません。
50代の終活をとおして、いざというときの準備と心構えをしておきましょう。
ここでは最初に、終活の特徴やメリットといった基礎知識を解説します。
終活の特徴とメリット!50代は理想の老後を迎えるために活動
終活とは「自分の理想とする老後・最期を迎えるための準備活動」になります。
終活には多くのメリットがあり、終活を早く始めるほど、よりよい未来を実現することが可能になります。
たとえば、万が一のときに家族の負担を減らせたり、理想のセカンドライフに向けて人生計画が立てられたり、老後の不安を解消したりできることは、終活の大きなメリットといえます。
一般的に50代の方は肉体の衰えを感じることが多く、高齢になる親のことも影響して、老後や死というものがより身近に思える世代になります。
そして、50代の中には、すでに親の介護や死別を経験している方も少なくありません。
50代の方にとっては、自分だけでなく、親の老後・最期に向けての準備と心構えができることも終活の魅力といえます。
50代が終活をおこなう理由とは?自分と家族のためにできること
終活をおこなう理由は人それぞれですが、50代の終活では「家族に迷惑をかけたくない」「大切な人を悲しませたくない」「自分の気持ちを尊重してほしい」・・・といった心理的な理由があるようです。
結婚している方は配偶者や子どもに負担がかからないように、独身の方は一人で生きていくための準備として、終活を始める方は少なくありません。
また、定年後のセカンドライフに向けて、50代から人生計画や資金計画を立てたいと考えている方もいます。
このように、50代から終活をおこなう理由はさまざまですが、将来の不安を解消して、よりよいセカンドライフを実現したい!・・・という思いは、多くの方に共通する「動機」となっています。
終活を始めるタイミングはいつ?まだ元気な50代はオススメ!
一般的に、終活は高齢になってから取り組むものだと考えられています。そして実際に、終活を始めている人には60代以上の方がたくさんいます。
ですが、近年は終活の広まりとともに、40代や50代のまだ元気な世代でも、終活を始める方が増えてきました。もっと早い人では、20代や30代から終活を始めている方もいます。
50代からの終活は早すぎると思いますか?
現代は長寿化が進み、世界は「人生100年時代」に向かっていると考えられています。
そして、日本人の平均寿命は「男性81.25年」、「女性87.32年」であり、健康寿命は「男性72.14年」、「女性74.79年」となっています。(※平成30年簡易生命表等の資料参照)
ですが、今後さらに長寿化が進み、平均寿命や健康寿命が延びても、誰がいつ亡くなるかは誰にもわかりません。がん(悪性腫瘍)や心疾患などの病気、怪我や事故、自然災害によって、健康寿命よりも早く要介護になったり、亡くなったりしてしまう方もいます。
そのため、万が一にそなえて50代から終活をすることは、決して早すぎるとはいえません。
確かに、若者よりも高齢者のほうが死亡率(亡くなる確率)は高くなりますが、人間の寿命には個人差があり、ヒトの運命は誰にもわかりません。
いざというときのために、まだ元気な50代の頃から終活を始めましょう。
終活50代の特徴とポイント!メリット・デメリットも比較
一概に50代といっても、ライフスタイルや生活環境などによって、現在の状況には個人差があります。
50代になって、さらに仕事が忙しくなる人もいれば、以前よりも仕事が落ち着いてくる人もいます。
また、50代で既婚の方は、子どもが独立して、時間やお金にゆとりが生まれてくる人もいます。一方、50代で独身の方は、仕事に邁進している方も少なくないでしょう。
このように、50代にはさまざまな方がいます。
そして、自分や家族のために、終活を始める50代の方は近年増えています。
ここでは、終活50代の特徴とポイント、メリット・デメリットを解説します。
終活50代の特徴と5つのポイント!終活前に要チェック
50代の終活では、以下のポイントを意識することが大切になります。
1. 自分の状況を再確認する
2. 家族との時間を作る
3. 部屋を整理する
4. 資金計画を立てる
5. 親の老後・最期から学ぶ
《終活50代のポイント1》自分の状況を再確認する
50代はまだまだ働き盛りであり、現役世代になります。50代になっても心身ともに元気な方はたくさんいます。
ですが、50代は、40代の頃よりも肉体の衰えを強く感じ始める年齢でもあります。
また、子どもが結婚して孫が生まれ、50代でおじいちゃん・おばあちゃんになっている方も少なくありません。
まずは、50代という年齢を踏まえて、自分の状況を再確認しましょう。50代になると、気持ちは若くても体がついていかない・・・ということがあります。
50代の終活では、自分の年齢と健康を意識して行動しましょう。
《終活50代のポイント2》家族との時間を作る
自分の老後・最期に関することは、家族にも大きな影響をあたえます。
50代で家庭のある方は、夫婦で話し合う時間を積極的に作りましょう。子どもが独立したあとは、これから夫婦2人だけの時間が長く続きます。
お互いの老後や最期にそなえて、50代のうちから夫婦で話し合っておきましょう。
また、50代で独身の方(おひとり様)も、家族や周囲の人たちとの時間を積極的に作りましょう。
特に、50代で一人暮らしの方は、将来的な「孤独死のリスク」を下げるためにも、近所の方や大家さんと積極的にコミュニケーションをとることをおすすめします。
【孤独死のリスク】・・・誰にも看取られないまま、独りで亡くなること
《終活50代のポイント3》部屋を整理する
「老前整理」として、50代から部屋を整理しておきましょう。
50代で家庭のある方は、子どもの独立後、子供部屋が長く使われないままになっていることがあります。
子どもが独立したあとは、子どもの荷物を整理したり、子供部屋をリフォームしたりするなどして、よりモノが少なく、快適な住環境に整えましょう。
モノが多い生活は、転倒や怪我のリスクが高くなり、探し物も見つかりにくくなります。
また、モノが大量にあると、死後の「遺品整理」も負担が大きくなりますので、50代のうちから家を整理しておきましょう。
《終活50代のポイント4》資金計画を立てる
50代の終活では、現在の財産を把握して、将来のために資金計画を立てることも大切になります。
複数ある口座をなるべく1つにまとめたり、不要な口座やクレジットカードは解約したりするなどして、財産が管理しやすいように工夫しましょう。支払い口座を1つにまとめることもおすすめです。
また、老後資金のために、現在の保険や住宅ローン、生活費の見直しをすることも大切です。
医療保険や介護保険などを見直して、よりよい保険プランがないか検討しましょう。住宅ローンは金利の見直しを銀行にお願いしたり、借り換えローンを検討したりするなどして節約することが可能です。
また、ガス・電気の契約、通信費(携帯電話プラン)などを見直して、生活費を節約できないか考えてみましょう。
《終活50代のポイント5》親の老後・最期から学ぶ
50代になると、すでに親の老後や最期を経験している方もいます。親の介護や死別で学んだことを、今後の人生に活かしましょう。
親の介護を経験した方は、自分の老後も具体的に考えることができます。老後のために必要な準備や費用がわかり、50代から将来にそなえることができるでしょう。
また、親の死別を経験することで、死後の手続きや費用、遺産相続(相続税)に関することもわかります。
自分の死後、残された家族が困らないように、親の介護や死別で学んだことを参考にしましょう。
終活50代のメリットとデメリット!比較して終活の有無を考える
50代の終活には、以下のようなメリットがあります。
●資金計画が立てられる
●理想のセカンドライフに近づける
●元気なうちに行動できる
●老後にゆとりをもてる
50代から終活をおこなうと、より早い段階で資金計画を立てることができ、理想のセカンドライフを実現しやすくなります。
また、50代の終活では、まだ元気なうちに将来の準備ができるというメリットもあります。
一般的に、人間は60才頃をさかいに、徐々に記憶力が低下していくといわれています。
50代はまだ現役世代であり、高齢者に比べると、心身ともに元気な方がたくさんいます。気力・体力・判断力がある50代は、終活を始める絶好の年齢といえます。
このほかにも、50代から終活に取り組むことで、老後にゆとりを持てるというメリットがあります。
定年後に慌てて老後の準備をするよりも、50代から終活を始めたほうが、人生設計・資金計画ともにゆとりを持って取り組むことができます。
特に、お金に関すること(貯金、資産運用、節約、節税対策など)は、60代から準備するよりも、50代から準備するほうが「お得」になる可能性が高くなります。
このように、50代の終活には多くのメリットがあります。ですが、その一方で、50代の終活にはデメリットも存在します。
50代の終活では、以下のデメリットに注意しましょう。
●時代の流れによって制度が変わる可能性
●経済環境や家庭環境が変わる可能性
●エンディングノート・遺言書などが変わる可能性
まず1つ目のデメリットは、時代の流れによって、制度や手続きが変化する可能性があることです。
現在の制度にあわせて50代から終活を始めても、将来的に、介護・医療・年金・税制などの内容が法律で変わってしまう可能性があります。制度や手続きが変わった場合は、その都度、自分のプランを変更しなければなりません。
そして、2つ目のデメリットには、将来的に経済環境や家庭環境が変わる可能性が挙げられます。
年金の制度が変更になったり、資産運用に失敗したりするなどして、経済状況が悪化した場合、人生設計や資金計画を見直さなければなりません。
また、早い年齢で要介護になったり、配偶者に先立たれたりするなどして、家庭環境が変わる場合も、50代で用意した自分のプランを変更する必要に迫られます。
そして、3つ目のデメリットとして、将来的に、エンディングノートや遺言書の内容が変わる可能性も挙げられます。
50代のときに希望していたことでも、時間とともに考え方や価値観が変わり、エンディングノートや遺言書の内容を変更したくなる場合があります。
このように、50代からの終活にはメリットとデメリットがありますので、ご自身の状況にあわせて、終活の必要性を考えてみましょう。
終活50代でやるべきこと!オススメな5つの活動
50代から終活を始めるときに、何から手をつければよいのかわらかない・・・という方もいます。
終活には決まったルールがありませんので、終活でやることは自分で選ばなければなりません。
50代の終活で何をすればよいのかわからない方は、主な終活の内容を確認しましょう。
ここでは、50代の終活でやるべきことを解説します。
《終活50代でやること1》エンディングノートの作成
エンディングノートとは、「自分の気持ちや意思を伝えるためのノート」です。
自分の老後や最期について要望・希望がある場合は、エンディングノートにその旨を書いておくと安心です。
エンディングノートがあれば、自分に何かあったとき、家族がエンディングノートを参考にしてさまざまなことを判断してくれます。
また、エンディングノートには、自分史や家族へのメッセージも書くことができます。
このように、エンディングノートは、家族に必要な情報をあたえるだけでなく、故人の「大切な形見」にもなります。
終活でエンディングノートを作成している方はたくさんいますので、まずはエンディングノートを書くことから、終活を始めてみてはいかがでしょうか?
《終活50代でやること2》老前整理・生前整理(断捨離)
50代の終活では、「老前整理」と「生前整理」が大切になります。
老前整理と生前整理はどちらも「身辺整理をすること」ですが、老前整理には「元気な年齢のときから自分のためにおこなう」、生前整理は「最期にそなえて家族のためにおこなう」という意味合いが強くなります。
老前整理と生前整理では、身の回りや人間関係を整理します。
老前整理・生前整理をすると、生活環境が快適になるだけでなく、自分とって本当に必要なものに気づくことができます。また、所持品を減らすことで、自分の死後「遺品整理」をおこなう家族の負担を減らすこともできます。
老前整理・生前整理では、不要なものを買わない・処分する・執着しないという「断捨離」が基本になります。
一般的に、長く生きるほどモノが増えやすいので、高齢になってから身辺整理を始めると苦労する可能性が高くなります。
モノを片付けるときは「気力・体力・判断力」が必要になりますので、高齢になってからよりも、50代の元気な頃から老前整理を始めるほうがスムーズに進みます。
将来の負担を軽くするためにも、50代の方は老前整理・生前整理を始めましょう。
《終活50代でやること3》財産整理・重要書類の保管
50代の終活では、財産整理をする方もいます。
50代のときに財産整理をおこなうと、現在ある自分の財産がわかり、今後の資金計画を具体的に立てることができます。
財産整理をおこなう場合は、最初に「現金、預貯金、有価証券、土地・不動産、保険、貴重品、骨董品など」自分の財産をすべて確認してリストアップしましょう。プラスの財産だけでなく、「ローン、借金、連帯保証人の有無」といったマイナスの財産も、すべてリストアップすることがポイントです。
そして、必要があれば、財産を売却したり、処分したり、贈与したりするなどして、財産整理をしましょう。
「金融機関、有価証券、保険、不動産など」の登録情報や契約書類は、1つにまとめて保管しておくと安心です。
自分に何かあったとき、家族が困らないように、重要書類は1つにまとめて大切に保管しておきましょう。
《終活50代でやること4》介護・医療・葬儀・お墓を考える
50代は現役世代であり、心身ともに元気な方もたくさんいます。
ですが、将来にそなえて、50代のうちから自分の介護・医療・葬儀・お墓について考えてみましょう。
元気な50代の方でも、突然の病気や怪我、事故などによって要介護になったり、亡くなったりしてしまう方がいます。
どのような介護を望むのか、終末期医療(延命治療)はどこまで希望するのか、理想の葬儀やお墓はあるのか・・・などは、50代のうちから考えて、ある程度決めておきましょう。
特に、介護・医療・葬儀・お墓については、事前に家族で話し合っておくと安心です。
《終活50代でやること5》どんな老後にしたいかイメージする
老後はどこに住みたいのか、どのように暮らしたいのか・・・といった理想の老後をイメージすることは、とても大切です。
理想の老後がイメージできれば、その未来を実現するために必要な準備を今から始めることができます。
50代の頃から準備しておけば、定年後のセカンドライフも、暮らしにゆとりを持つことができますよね。
また、50代から自分の老後をイメージすることは、家族のことを考えるきっかけにもなります。
夫婦二人の老後をどのように過ごしたいのか、またはパートナーに関すること(結婚や離婚など)を、50代の終活をとおして考えてみてはいかがでしょうか?
終活50代におすすめ!エンディングノートの書き方とコツ
終活の一環として、エンディングノートを書く方はたくさんいます。
エンディングノートは「自分の気持ちや意思を家族に伝えるための手段」であり、自分に何かあったとき、エンディングノートによって必要な情報を家族に伝えることができます。
50代から終活を始める方は、エンディングノートの作成を検討してみましょう。
ここでは、終活50代におけるエンディングノートの書き方を解説します。
終活50代のエンディングノート作成手順!主な項目一覧
まずは、エンディングノートを用意しましょう。
エンディングノートは普通のノートで自作できますが、市販のエンディングノートを購入したり、葬儀社や自治体などで無料配布されているエンディングノートを入手して利用することもできます。
エンディングノートは、デザインやページ数、項目内容などを参考にして、自分好みのものを選びましょう。
エンディングノートを用意したあとは、エンディングノートに必要なことを書いていきます。
エンディングノートは何でも自由に書けますが、家族のためにも、必要な情報を記載しておきましょう。
エンディングノートの主な項目は、以下のとおりです。
【自分のこと】・・・氏名、生年月日、住所、本籍地、家族構成、自分史など
【財産のこと】・・・財産内容、重要書類・印鑑の保管場所など
【遺産相続のこと】・・・遺産相続の希望内容、遺言書の有無・保管場所など
【介護・医療のこと】・・・理想の介護内容、アレルギー、延命治療の意思など
【葬儀・お墓のこと】・・・理想の葬儀内容、お墓の希望など
【親族・友人・会社の連絡先】・・・何かあったときに知らせる連絡先など
【家族へのメッセージ】・・・感謝の言葉、謝罪、お願い、思い出話など
エンディングノートを書いたあとは、エンディングノートの存在と保管場所を家族に知らせておきましょう。
また、エンディングノートは定期的に見直して、今の自分にふさわしい内容に追加・修正することも大切になります。
終活は50代でも早くない!未来のために今から準備しましょう
この記事では、50代の終活について解説しました。いかがでしたでしょうか?
自分や家族のために、50代から終活を始める方は少なくありません。
50代の終活では、老後の準備だけでなく、具体的な人生設計・資金計画を立てられるというメリットがあります。将来のために必要なスキルや費用は、50代のうちから準備しておくと、老後にゆとりをもって行動できるようになることでしょう。
理想のセカンドライフを実現するためにも、50代から終活を始めてみてはいかがでしょうか?