終終活の一環として、エンディングノートを作成する方は多くいます。ですが、エンディングノートに何を書けばよいのかわからない・・・という方も少なくありません。
エンディングノートの書き方に困ったときは、エンディングノートの内容とポイントを確認しましょう。
エンディングノートには特に決まった書き方はなく、誰でも自由に執筆することができます。まずは、自分に必要な内容・項目を決めて、記入しやすいところからエンディングノートを書き始めてみましょう。
ここでは、エンディングノートの基礎知識、書き方と内容、書くときのコツなどを解説します。
目次
エンディングノートとは?基礎知識をおさらい
近年、終活の広まりとともに「エンディングノート(終活ノート)」を作成する方が増えています。
エンディングノートは、テレビや雑誌、書籍で紹介されたり、映画化されたりするなどして、世間に広く認知されるようになりました。
終活とは「自分の最期に迎えて準備する活動のこと」であり、エンディングノートは終活の一環として、シニア世代を中心に、多くの方が取り組まれています。
エンディングノートの魅力は、遺言書のように決まった書き方のルールがなく、自由に作成できることが挙げられます。自分のこと、家族のこと、財産のこと、老後のこと、死後のこと・・・など、何でも好きなことをエンディングノートに記入することができます。
ですが、自由度が高いことで、エンディングノートに何を書いてよいのかわからない・・・という方も少なくありません。
エンディングノートに決まった書き方はありませんが、自分の希望が伝わりやすいように、また、大切な家族が理解しやすいように作成する必要があります。
老後や最期を迎えるときになって後悔することがないように、エンディングノートの基礎知識や役割、書き方と内容、作成時のコツなどを確認しましょう。
ここでは最初に、エンディングノートの基礎知識を解説します。
エンディングノートの意味と役割!自分の希望や意思を伝える手段
エンディングノートとは「自分の将来に備えるためのノート」であり、自分の希望や気持ちを家族に伝えるための方法になります。
自分の老後や死後について希望がある場合は、その旨をエンディングノートに記しておくと安心です。
自分が認知症になったり、突然の病気や事故で亡くなったりしたときも、エンディングノートがあれば、自分の意思を家族に伝えることができます。
また、エンディングノートを利用して、家族に感謝の気持ちを伝えたり、自分史を作成して今後の人生に役立てたりすることも、エンディングノートのメリットになります。
自分の希望や意思を伝えるために、また、大切な家族の負担を減らすために、今後の人生をより豊かにするためにも、エンディングノートの活用をおすすめします。
エンディングノートを書き始めるタイミング!早いほど安心です
エンディングノートを書き始めるタイミングは、特に決まっていません。
20代、30代、40代、50代からエンディングノートを書き始める方もいれば、65歳以上のシニア世代になってから、終活とともにエンディングノートを作成する方もたくさんいます。
このように、エンディングノートは好きなタイミングで書き始めることができますが、健康上の理由などから、あまりにも遅い年齢でエンディングノートに取り組むことはおすすめできません。
一般的に、人は年齢を重ねるほど心身が衰えてきます。高齢になって気力や体力が低下したり、認知症などで判断力が失われたりすると、エンディングノートを書くことが困難になってしまいます。
また、突然の病気や事故によって、早めに亡くなる可能性もあります。
エンディングノートを書き始めるタイミングは特に決まっていませんが、万が一のときに備えて、なるべく早めにエンディングノートを作成すると安心です。
心身が健康なうちに、エンディングノートを書き始めてみましょう。
エンディングノートと遺言書・遺書の違いは?法的効力の有無
終活では、エンディングノートだけでなく、遺言書や遺書を作成することもあります。
「遺言書」とは、相続人や相続割合など、遺産相続の方法を指定する書面になります。正しい書式に則って作成された遺言書には法的効力があり、遺言者の希望する遺産相続を実現することができます。
一方、遺書とは、死を覚悟した人間が残す手紙であり、内容は主にプライベートなものになります。遺書は、自分の死を悟った方が、大切な家族や友人などへ個人的な思いを伝えるための方法になります。
エンディングノートや遺言書、遺書は、いずれも自分の希望や意思を伝えるための手段になりますが、大きく異なる点があります。
それは、エンディングノートや遺書には法的効力がなく、遺言書には法的効力があるということです。
エンディングノートや遺書には法的効力がないため、書かれている内容を、必ずしも家族が守らなければならないという決まりはありません。
一方、遺言書には法的効力があるため、遺言書に遺産相続の方法が指定されている場合は、あらかじめ法律で定められている相続人や相続割合ではなく、遺言書の内容が優先されます。
老後や死後の希望はエンディングノート、お別れの挨拶は遺書、相続財産に関することは遺言書を作成するなどして、内容に応じて使い分けるとよいでしょう。
エンディングノートの選び方!有料・無料どれでも自分の好みで
エンディングノートは、どんなものを選んでも問題ありません。デザイン、文字の大きさ、紙質、ページ数、項目などを参考に、自分好みのエンディングノートを選びましょう。
エンディングノートは「文具店、本屋、インターネットショップ、100均、自治体・NPO法人・生命保険会社、スマートフォンアプリ、インターネットのダウンロード」などで入手できます。
市販にはさまざまなタイプのエンディングノートがありますが、自治体や終活セミナー、または葬儀社などのコラムサイトでは、エンディングノートを無料配布しているところもあります。
有料と無料のどちらがよいとは一概にいえませんので、ご自身の好みや書き方にふさわしいエンディングノートを選びましょう。また、エンディングノートは、普通のノートやパソコンの文章ソフトを利用して自作することもできます。
ですが、初めてエンディングノートを書くときは、自治体(行政機関)などの無料配布や、市販で購入できる専用ノートがオススメです。
エンディングノートはものによって項目やページ数などが異なりますので、入手する前に、実物を手に取って確かめておきましょう。
初めてエンディングノートを書くときは、作業量の多さで挫折しないためにも、100ページ近くある厚めのノートより、10~20ページほどの薄めのノートがおすすめです。
エンディングノートの書き方!書いておきたい内容と項目一覧
エンディングノートを作成するときに、何を書けばよいのかわからないという方は少なくありません。また、自分や家族のためにも、必要な情報をエンディングノートにきちんと記載しておきたいという方もいます。
エンディングノートを作成するときは、自分のためだけでなく、残された家族が困らないように、必要な情報を記載しておきましょう。
- 自分自身について
- 個人情報や契約内容
- 介護や医療
- 葬儀やお墓
- 相続財産と遺言書
- 連絡先
- 家族へのメッセージ
- ペットのこと
- 自分史
ここでは、エンディングノートの書き方と内容を解説します。
《エンディングノートに書くこと1》自分自身について
エンディングノートに自分自身のことを記載しておくと、誰のエンディングノートなのかを明確にできます。まずは、自分の基本情報をエンディングノートに書いてみましょう。
- 名前
- 生年月日
- 住所
- 本籍地
- 血液型
- 趣味
- 特技
- 好きな食べ物・嫌いな食べ物
- 家族構成・家系図
- 運転免許証
- 健康保険証
- パスポート(有無、保管場所)
- マイナンバー
- 住民票コード
- 年金手帳
《エンディングノートに書くこと2》個人情報や契約内容
エンディングノートには、携帯電話(スマホ)やインターネットなどの個人情報や契約内容も記載しておきましょう。
どんなサービスを利用して契約しているか、IDやパスワード、支払方法などを書いておくと、家族が困らなくて済みます。
また、エンディングノートを書くときに不要なサービスを解約しておくと、生前整理が楽になって、遺族の負担をより軽くすることができます。
- 契約サービス(携帯電話、インターネット、SNS、ブログなど)
- 契約者
- メールアドレス
- 各種IDとパスワード(※家族以外に知られないように注意!)
- 支払方法
《エンディングノートに書くこと3》介護や医療
自分の将来のことを考えて、介護や医療についての希望をエンディングノートに書いておきましょう。
誰にどのような介護を受けたいのか、終末期医療(延命措置)はどうするのか、臓器提供の意思はあるのか・・・など、具体的な希望をエンディングノートに記載しておきます。
また、万が一のときに備えて、自分のアレルギーや持病、常用薬についてもエンディングノートに書いておきましょう。
- 介護をお願いする人(配偶者、子ども、介護ヘルパーなど)
- 介護内容(在宅介護、施設入居など)
- 介護施設(希望の有無)
- 介護費用について
- 認知症になった場合の対応
- 治療方針を任せる人
- アレルギー
- 持病
- 常用薬
- かかりつけの病院
- 告知・延命治療・尊厳死について
- 臓器提供の意思・献体登録の有無
《エンディングノートに書くこと4》葬儀やお墓
お通夜や葬式・告別式、お墓などの希望がある場合は、エンディングノートに記載しておきます。喪主を頼みたい人や、葬儀に参列してほしい人なども、希望があればエンディングノートに書いておきましょう。
- 葬式のタイプ(家族葬、一般相続、一日葬、直葬など)
- 葬儀社・寺院・霊園名(名前、住所、連絡先、宗教・宗派)
- 葬儀・お墓の費用
- 喪主を依頼する人
- 葬儀の参列者(各連絡先にその旨記載)
- 弔電の有無
- 遺影(希望や有無、保管場所)
《エンディングノートに書くこと5》相続財産と遺言書
エンディングノートには、自分の財産についても書いておきましょう。
現金、預貯金、土地、不動産、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借入金やローン、連帯保証人などのマイナスの財産も、エンディングノートに記載しておくと後々のトラブル回避につながります。
ただし、相続人や相続割合といった遺産相続の方法を指定したいときは、エンディングノートよりも、法的効力をもつ遺言書の作成がおすすめです。
また、エンディングノートを紛失する可能性を考えて、銀行やクレジットカードなどの暗証番号は、エンディングノートに記載しないように注意しましょう。
- 金融機関について(銀行名、支店名、連絡先、預貯金の種類、口座番号、口座名義、口座の種類、通帳・印鑑の保管場所、公共料金引き落としの有無など)
- 各種カード(クレジットカード、ポイントカード、電子マネー、連絡先)
- 保険について(保険会社、連絡先、商品名、保険の種類、契約者名、受取人、証券番号、保険証券などの保管場所)
- 年金について(基礎年金番号、年金の種類)
- 資産について(土地、不動産、有価証券、貴金属、骨董品など)
- 貸金庫やトランクルームの有無
- 貸金(相手、連絡先、契約内容、返済方法、金額)
- 借金・ローン(借入先、契約内容、返済方法、担保の有無、連帯保証人の有無)
- 親族関係について(養子の有無、親族図など)
- 遺言書の有無
- 遺言書の保管場所
- 遺言書の種類(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言など)
- 遺言書の相談相手(弁護士・司法書士・行政書士など、連絡先)
《エンディングノートに書くこと6》連絡先
自分に何かあったときに知らせたい人がいる場合は、エンディングノートに連絡先を記載しておきましょう。
訃報を伝えたい人、葬儀に参列してほしい人などをエンディングノートに明記しておくと、家族の負担を減らすことができます。
- 家族・親族の連絡先
- 友人・知人・交友メンバーの連絡先(訃報・参列の有無)
- 会社関係の連絡先(訃報・参列の有無)
《エンディングノートに書くこと7》家族へのメッセージ
エンディングノートには、家族へのメッセージを書くこともできます。
家族に対する感謝の気持ちや伝えたいこと、過去の思い出などをエンディングノートに記入しましょう。
メッセージとともに、写真やイラストをエンディングノートに貼付する方法もおすすめです。
- 配偶者(妻・夫)へのメッセージ
- 子どもへのメッセージ
- 両親(父母)へのメッセージ
- 孫へのメッセージ・・・など
《エンディングノートに書くこと8》ペットのこと
ペットを飼っている方は、自分に何かあったときのことを考えて、ペットについても記載しておきましょう。ペットの名前や年齢、種類、かかりつけの動物病院などを、エンディングノートに書いておくと安心です。
また、将来のことを考えて、自分がペットを飼えなくなったときに、誰にペットのお世話をお願いするのかなども、事前に決めて相手に承認を得ておきましょう。
- ペットの名前
- ペットの種類
- ペットの年齢
- ペットの性格
- ペットの好きな食べ物・嫌いな食べ物
- ペットのお気に入りのおもちゃ
- ペット保険(有無、保険の種類)
- かかりつけの動物病院(病院名・住所・連絡先)
- 自分の死後、ペットの行く末について
《エンディングノートに書くこと9》自分史
今までの人生を振り返って、エンディングノートに自分史を書く方もいます。
幼少期から現在までの出来事や家族との思い出、今までやってきたこと、やれなかったことなどをエンディングノートに記載します。
自分史をとおして今までの人生を振り返ると、やり残したことに気づき、今後の目標が見つかることがあります。そして、目標がはっきりすると、より人生を楽しむことができるというメリットにつながります。
また、故人の歴史がつづられたエンディングノートは、家族にとっては大切な形見の品にもなります。
自分や家族のためにも、エンディングノートに自分史を書いてみましょう。
エンディングノートの書き方のコツとポイント
エンディングノートには「自分の自由に書ける!」という魅力がありますが、その自由度の高さから、エンディングノートの書き方に頭を悩ませてしまう方も少なくありません。
エンディングノートには書き方のコツがありますので、途中で挫折しないためにも、事前に確認しておきましょう。
- 書ける項目から記入する
- 一度にすべて記入する必要はない
- 家族に必要な情報を記入する
- 定期的に見直して加筆・修正する
- 専門家に相談する
《エンディングノートのポイント1》書ける項目から記入する
専門のエンディングノートには、あらかじめ必要な項目が記載されています。
エンディングノートを書くときは、項目の順番にとらわれないで、自分が書きやすいところから記入しましょう。
エンディングノートの項目には、すぐに書ける内容と、よく考えないと書けない内容があります。
たとえば、自分自身のことや親族・友人の連絡先などは、比較的簡単に記入できる項目といえます。一方で、介護や医療、葬儀・お墓、相続財産などについては、記入するまでに時間のかかる項目といえます。
エンディングノートの項目を最初から埋めようとしてしまうと、悩んだり、時間がかかったりして、エンディングノートをスムーズに書けなくなる可能性があります。
エンディングノートを作成するときは、自分の書きやすい項目から1つずつ着実に記入していきましょう。
《エンディングノートのポイント2》一度にすべて記入する必要はない
エンディングノートは、一度にすべての項目を埋める必要はありません。自分の書きやすい項目から始めて、時間をかけて少しずつ仕上げていきましょう。
最初からすべての項目を埋めようとすると、心身が疲労したり、思うように書けなくて挫折したりする原因になります。
エンディングノートの空白部分が気になる方もいるかもしれませんが、自分のペースにあわせて無理なく作成しましょう。
《エンディングノートのポイント3》家族に必要な情報を記入する
エンディングノートの役割には「残された家族の負担を減らす」というものがあります。自分の老後や死後に関することがエンディングノートに書かれていれば、家族が物事を判断するときの助けになるでしょう。
そのため、エンディングノートを作成するときは「家族に必要な情報を書く」という意識が大切になります。
介護や医療、葬儀やお墓、相続財産など、家族にとって必要となる情報(項目)は、エンディングノートに記載しておくと安心です。
残された方にとって何が必要な情報かわからないときは、実際に家族に相談してみましょう。
《エンディングノートのポイント4》定期的に見直して加筆・修正する
エンディングノートは、一度完成したら終わりではありません。
定期的にエンディングノートを見直して、必要があれば加筆・修正しましょう。記載内容を自由に変更できることも、エンディングノートの魅力の1つといえます。
その時々によって、人の状況や考え方は変わります。当時決めたことでも、現在は考え方が変わって変更したいというケースは珍しくありません。
修正したい部分には二重線を引き、変更内容をそえておきましょう。また、加筆したい部分には新しい紙を貼付するなどして、エンディングノートの内容と現在の希望をあわせましょう。
《エンディングノートのポイント5》専門家に相談する
エンディングノートの書き方がわからないときは、終活カウンセラーなどの専門家に相談することもおすすめです。
終活イベントやセミナー、弁護士・司法書士・行政書士の事務所、葬儀社などでは、エンディングノートに関する相談を受け付けているところがあります。
また、エンディングノートの書き方講座やインターネットの動画サイトを参考にして、エンディングノートを作成する方法もおすすめです。
エンディングノートとは?エンディングノートの書き方や書いておきたい内容 まとめ
この記事では、エンディングノートの書き方や書いておきたい内容について解説しました。いかがでしたでしょうか?
エンディングノートは、自分の希望や意思を家族に伝えるための方法です。エンディングノートの書き方に特別なルールはありませんが、家族の助けとなるように、自分の老後や死後について必要なことは記載しておきましょう。
そして、エンディングノートを作成したあとは、エンディングノートの存在と保管場所を家族に伝えておくことが大切です。
自分のために、そして大切な家族のためにも、終活の一環としてエンディングノートを作成してみましょう。