冠婚葬祭の全般に言えることかと思いますが、お墓に関しても定価という概念はありません。
石材店が設定した価格でお墓は販売されますので、もしかするとお墓の質よりも、高額な金額を請求される可能性もあります。
お墓の購入では、あくまでも『適正価格』かどうかという所を見極める必要があります。
粗悪なお墓や過度に高額な請求をされないようにお墓を購入する際のポイントを一緒に確認しましょう。
お墓の費用と相場、適正価格の目安とは?
お墓を購入する際に知っていただきたいのが、墓石の価格相場です。
墓石は石材の使用量が多くなれば多くなるほど、価格が高くなるのでどこまでもお金をかけることができますが、果たしてそれが墓石に対しての適正価格なのか?という事が重要です。
全国の墓石の平均価格は114万円(墓地代別)で、80万円未満の価格が34%、80万円~120万円が32%、120万円~200万円が23%ですので、全体の約8割が200万円以下でお墓を購入していることになります。
地域性や石材店の価格設定の違いなどで価格の誤差はありますが。全国平均で見ると、80万円~200万円が最も多い価格帯で、100万円以下が次に占める価格帯になっています。
お墓の平均価格と見積もりを見比べて、適正価格を出すためには数店舗の石材店から見積もりを出してもらうことをお勧めします。
住んでいる地域のお墓の平均を知ろう
お墓の価格は地域にもよって変動があります。
石材店の価格設定が要因になることが最も大きく、地域によって主流のお墓の形があることや、信仰している宗教の違いにもお墓の価格は左右されます。
●東北地方 155万円
●北関東 170万円
●1都3県 175万円
●中部地方 160万円
●北陸地方 155万円
●近畿地方 168万円
●中国地方 151万円
●四国地方 190万円
●九 州 222万円
以上の平均価格を見ると九州が平均220万円と、お墓にかける価格が高く、北海道が平均134万円と一番お墓にかける価格が低いことが分かります。
地域性だけでも、価格の開きが平均86万円ありますので、適正価格を見極めるのが難しいことが分かります。
あくまでも参考としての平均価格帯になりますが、オーソドックスなお墓を建てる内容で、示価格が平均価格を大幅に上回った場合は、即決購入をするのはやめましょう。
お墓の価格が決定するポイントとは?
お墓の価格が決定するには注目ポイントが大きく分けて5つあります。
それぞれのポイントを踏まえながら、検討しているお墓の購入場所と価格などが適正なのか確認しましょう。
- 石材の種類
- 石材の使用量
- 石材の加工とデザイン
- 指定石材店の存在
- お墓を建てる土地の状況
ポイントその1:石材の種類
お墓を建てるためにはまず石材が必要ですが、石材にはたくさんの原産国と種類、等級があります。
国内外を合わせると、お墓に使用される石材の種類は150種類以上を超え、国産では、香川県、神奈川県、愛媛県、佐賀県などで石材が採掘されており、海外ではインド、中国、ヨーロッパなど様々な国で石材が採掘されています。
同じ石材でも原産国の違いによって価格は変わりますし、等級によっても価格は変わります。
最も高価な石材は香川県の庵治石ですが国産だから良い、海外産だから悪いということもなく、国産の安価な石材より海外産の石材の方が質も良く高価な場合もあります。
ポイントその2:石材の使用量
お墓の大きさが大きくなればなるほど、石材の使用量が多くなるので自動的にお墓の価格も上がっていきます。
しかし、墓石の使用量以前の問題で石材の種類によっては石材の使用量が多くなるにつれて、石材の基本価格が割り増しになるケースがあります。
なぜかというと、石材そのものの採掘量が少ないことから希少価値が生まれるからです。
ですから、お墓のデザインだけではなく石材にもこだわりたいという方はお墓の価格が割り増しになることがあると覚えておきましょう。
ポイントその3:石材の加工とデザイン
お墓を作る際に様々な加工をしますが、基本の加工の他に墓石に柄の彫刻や花立や香炉のデザインを複雑にすると加工費が追加されます。
また、同じ石材で同じ形のお墓でも、作成加工をした国によって価格は異なり、日本は人件費が高いためインドや中国で作られたお墓よりも価格が高くなります。
ポイントその4:指定石材店の存在
お墓の価格、建墓をする際の費用を最も左右するのが石材店の違いです。
公営墓地、民営墓地、寺院墓地には石材店の指定制度がある場合があり、公営墓地の場合は、石材店の指定制度はなく自由にお墓を建てることが出来ますが、民営墓地は指定石材店がお墓を建てることがほとんどですので自由に石材店を選ぶことができません。
ですから気に入った石材店でお墓を見つけても、希望する墓地・霊園ではお墓を建てることができないこともあります。
全く同じデザインで同じ石材を使用したお墓でも、希望する石材店よりも指定石材店の方が価格設定を高くしていれば、必然と費用は高額になるということですので、自由に建墓できる公営墓地の方が墓石の価格が比較的安く抑えられることが多いです。
ポイントその5:墓地の場所と形状
公営墓地や民営墓地は比較的、交通の便も良く墓地も整備されていることがほとんどですが、寺院墓地は山の上や整備されていない土地にお墓があることも良くあります。
お墓を建てる以前に、まずは土地の聖地をしなければいけないので基本のお墓の建墓の施工費に割増料金が発生します。
墓石を山の上に運搬する距離や、お墓を建てるための周辺の環境や重機の種類にもよって価格は変わりますし、状況によっては、お墓を建てるために整地をしますが、その整地をする作業スペースがないと、作業場所を確保するための整地作業が入る場合もあるので、工事費用はさらに上がります。
お墓の生前建墓で注意するべきポイント
お墓を生前に建墓することは『寿陵』と言われ縁起が良いとされており、また、遺産相続の際に非課税財産となるので相続税の課税対象から外すことができますので、生前にお墓を建墓する方が増えています。
しかし、お墓を建墓してからこんなはずではなかったと後悔している方の実例がありますのでご紹介します。
価格の安さに惹かれてインターネットでお墓を購入した
今はお墓もインターネットで購入できる時代です。
お墓を建てた時は問題なく建墓できましたが、数年後に新たに亡くなった人がいるので、お墓に彫刻の追加彫りをお願いしたとろ『お墓の事業からは撤退したので、彫刻することはできない』と断られたそうです。
石材店が倒産してしまった
意外と多いのが石材店の倒産に関するトラブルです。
近年、お墓を建てる人が少なくなってきていることもあり、石材店が倒産するケースが増えています。
お墓を建てたのはいいものの、納骨の際に連絡をしたら既に連絡が付かなくなってしまいどうすることも出来なくなったそうです。
この場合どちらの案件も、新たな石材店にお願いするしかないのですが、基本的には建墓していないお墓については基本料金に追加料金が発生することが多いので、結果として無駄な費用がかかってしまうことになります。
特に公営墓地はどの石材店でも自由に出入りできるので、価格の安さだけで石材店を選んでしまうと、思わぬトラブルに発展する恐れがありますので価格の安さだけで考えるのではなく、適正価格を大きく下回る価格の場合も注意をしましょう。
お墓の購入に必ずかかる費用とは?
お墓を購入するにあたり、お墓(石材)の他に必ずかかる費用があります。
それは、『永代使用料』と『管理料』です。
永代使用料と管理料には消費税はかかりません。
永代使用料は特に高額になることが多く、管理料は霊園によって価格は様々ですので、お墓を建墓する際に必ず必要な費用はどれくらいかかるのか確認していきましょう。
永代使用料って何?相場の価格はいくら?
そもそも、永代使用料って何のこと?と思いますよね。
永代使用料とは、分かりやすく言うとお墓を建てる区画(土地)の使用料金のことです。
墓地の区画(土地)は購入するというよりも、必要がなくなるまで永代的に土地を借りるという意味合いになりますので、墓地の区画の所有者はあくまでも、霊園や墓地の管理者ですので、購入したお墓の区画を転売したり譲渡することはできず、不要になったら返還しなければいけません。
永代使用料の全国平均価格は1㎡60万円~80万円とされていますが、区画の面積や地域によっても価格は大きく異なりますので、住宅の土地と同じで都心に近く交通の便が良ければ永代使用料は高くなりますし、地方に行けば永代使用料は安くなる傾向があります。
全国の平均価格は1㎡60万円~80万円ですが、東京都心部ですと1㎡の価格は250万円以上の霊園もあり、区画が最大の大きさになると永代使用料だけで、1000万円以上の霊園も存在しますので、霊園の1区画あたりの永代使用料もお墓を購入するうえで重要なポイントになります。
お墓の管理料とは?
お墓を購入するには、区画(土地)の永代使用料の他に、管理料が発生します。
管理用は毎年支払う料金で、年間平均は5,000円が相場ですがガーデン霊園などお花や庭を売りにしており、植樹のメンテナンスが行き届いている霊園や共有設備が充実している霊園は管理料も高くなり、年間20,000円~30,000円ほどかかります。
霊園の管理料は霊園全体の管理と維持のために使用されますので、マンションなどの清掃や保全といった管理費と同じく、運営するための資金と考えていただけると分かりやすいと思います。
ですから、霊園の見学に行った際に管理料の価格に対して手入れが行き届いていない、水くみ場や管理棟などの共有施設がメンテナンスされていないなどの不備を感じた場合は、霊園の管理自体が雑になっている可能性がありますので霊園を見学する際には、注目してよく観察してみましょう。
永代使用料と管理料の支払い方法とは?
墓地・霊園を選ぶために永代使用料と管理用はとても重要です。
なぜなら、お墓を建墓するための全体費用の3分の1~半分の費用は永代使用料になるからです。
永代使用料の支払い方法とは?
永代使用料の支払いは、区画(土地)を購入した際に一括で支払うのが原則とされていますので、まずは区画(土地)の購入をする前に永代使用料はいくら必要なのか?分割払いは可能なのか?という事を墓地・霊園に確認しましょう。
永代使用料は金額が大きいため霊園によっては分割で支払うこともできますが、やはり不安をなくすためにも永代使用料は、予めまとまった金額の準備をしておきましょう。
支払い期限の遅れや、滞納した場合には使用許可が取り消しになりますので十分に注意をしましょう。
管理料の支払い方法とは?
管理料はお墓の使用が終わるまで毎年1回支払いが必要です。
1年単位で考えれば、平均5,000円~12,000円なので大変な金額ではありませんが、これが10年、20年、30年と続くと大きな金額になります。
墓地や霊園によっては10年単位で管理料の前払いを受け付けてくれるところもありますので、銀行の引き落としの場合は手数料が節約できるのと手渡しの場合は管理者と毎年会う必要がなくなります。
また、管理料を前払いすることで、永代管理を保証してくれる墓地や霊園もありますので、管理料がどのように請求されるのか確認しましょう。
もし万が一、管理料の滞納が続いた場合は、墓地の使用が取り消される場合があり、未払いが3年~5年経過すると管理者はお墓を撤去できるという権利を持っていますので、管理料の未払いが続き利用者に連絡が付かなくさらに未払いが続いた場合は、お墓の撤去の手続きが開始されます。
このお墓の撤去に関しては、法律によって定められており官報に掲載し、お墓に案内の立札を1年立てそれでも利用者から連絡が無ければ、お墓は撤去されることになります。
お墓に関する支払いの注意点とは?
管理料をまとめて支払ったことにより、お墓にあまり足が向かずそのうちに年齢を重ね自由に動くことができなくなり、管理料が支払われずお墓が撤去されるケースもあります。
特に生前にお墓を購入した場合は、墓石の購入に関する支払いや、永代使用料や管理料などの支払いがどこまで済ませてあるのかを、エンディングノートや終活ノートに残しておくようにしましょう。